
・・一体何から手をつければいいのか。
「ベン・ハー」より長く、「十戒」よりも尚長い4時間という驚異のランニング・タイム。
神も宗教もなぎ倒して、ただ一言「愛してる」のために費やされる4時間をどう語ればいいのでしょう。
高校生のユウ(西島隆弘)は、妻に先立たれ神父となった父テツ(渡部篤朗)と幸せに暮らしておりました。
が、愛人を作り捨てられた父は人が変わり、日々懺悔をユウに強要。
優等生のユウが、父との唯一の接点「懺悔」を続けるためには無理やり罪作りに励まなければなりません。
そして入った盗撮の世界。何を見ても勃起しないユウは母の言葉「あなたのマリア様を探すのよ」を胸に盗撮に打ち込み、いつしか盗撮界のカリスマに。
ある日、仲間とのパンチラ盗撮勝負に敗れたユウは罰ゲームで女装して街へ。
そこでユウは見た。大勢の不良をカンフーでなぎ倒す美少女ヨーコ(満島ひかり)を。彼女のパンチラを見て生まれて初めて海綿体が充血するユウ。「僕は一瞬で恋に落ちた」。
ここでようやくメイン・タイトル。なんと開始から1時間が経過しておりました。
「愛のむきだし」(2008年/園子温監督)
ありていなラブ・コメに走るかと思わせて、話は加速度的に予想外の展開へ。
新興宗教団体ゼロ教会の仕組んだ壮大な罠。
神が、宗教が、洗脳が、盗撮が、レズビアンが、コリント人への手紙が、女囚さそりが、変態がひしめき合い、「愛してる」の一言に打ち砕かれる怒涛の237分(長くない!)。
間違いなく10年に一本の異端児です(ただし激しく客を選ぶ)。
ヨーコがユウのマウントとってコリント人への手紙第13章“愛の賛歌”を暗誦、いや絶唱するシーンは映画史に残ると思います。