『島を封鎖だ(Close the island)』
『どの島の事だ?(What island?)』
『マンハッタン島だよ(Manhattan)』
マンハッタン島に掛かる21全ての橋を封鎖する。その段取りを画にするだけで滅茶苦茶盛り上がると思いますが、これは映画的ハッタリ。
封鎖は嘘ではありませんが、封鎖そのものの画はありません。しかし、この大風呂敷なハッタリが画面に大作感と緊張感を醸成しています。
演出はハッタリです。
「21ブリッジ」(2019年/ブライアン・カーク監督)
2020年、43歳の若さでこの世を去ったチャドウィック・ボーズマン主演作。
ステージ4に進行した大腸癌と闘いながら(手術・化学療法の合間を縫って)の撮影だったようです。
ニューヨーク。深夜。とあるレストランの地下倉庫。そこに眠っている30kgのコカインを強奪するため敵対組織に雇われた傭兵二人組。
店番の男を脅して倉庫を開けたら…
『30kgだと? ふざけるな!300kgはあるぞ!』
規模がデカ過ぎる。地元のギャングが扱える量じゃない。ヤバイ、ヤバイでぇ。
黙って回れ右してトンズラこくのが賢いやり方。分かっちゃいるけど今更引けない。用意したバッグに詰めるだけ詰めてダッシュで逃げようとしたら何故か店の入り口に警官軍団。
なんでやねん!? と思う間もなく銃撃戦。瞬く間に死体の山。
ボディカウントは9。店番+警官8人(搬送中死亡含む)。
担当として呼び出されたのは、暴漢に殺された警官を父に持つアンドレ・デイビス刑事(ボーズマン)と麻薬取締班のフランキー・バーンズ刑事(シエナ・ミラー)。
まだ犯人はマンハッタン内にいると睨んだテイビスは島の完全封鎖を指示。
橋、トンネル、水路、全て遮断。島を出入りする電車は停止、地下鉄はループ。
封鎖のタイムリミットは午前5時。夜の大捜査線の始まりです。
ボーズマンが巧いのは勿論ですが、反目がお約束なのに(色んな意味で)使えるバディのバーンズ、簡単な仕事のはずがあれよあれよという間に「大量警官殺し」になってしまった不幸な二人組(ステファン・ジェームズ&テイラー・キッチュ)など周りのキャラ立ちも良く、実は地味な展開なのに飽きる事がありません。
どこか60-70年代のポリス・アクション(「フレンチ・コネクション」とか「ブリット」とか)の香りも漂う“いい感じ”の刑事ドラマでした。
不幸な二人組はどちらも退役軍人。片割れテイラー・キッチュの得物はチェコ共和国のチェスカー・ゾブロヨフカ社が2009年に発表したポリマーフレーム短機関銃「CZ Scorpion Evo 3」。
本国チェコの軍・警察に採用されているほか、エジプトやベトナムなど発展途上国の法執行機関で多く採用されています。
相手が倒れても必ずダブルタップで2発。正確に仕留めていく様子が従軍経験者のリアルを上塗りしていました。
★ダブルタップと言えば
★マンハッタン封鎖と言えば
★懐かしポリスアクションも
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