『あの場所で起こる失踪事件には共通点がある。あの場所に入ると3日後に…1人だけ戻って来る』
あの場所。パラドックス・レイク近くの小さな森。
1950年代にカルト教団「ひとつの手」の創始者バーノン・コーシュが信者20名でバトルロワイヤル(最後の一人だけが生き残って森から出られる)を行った場所。
1977年、売りに出されたこの森の一部をとある教授が買って建てた別荘のある場所。
翌78年、教授は自殺した。
そして現在。閑静な観光地となったパラドックス・レイクの別荘にやって来た男女5人。
3日後、森から出られるのは誰だ。
「レイクサイド・スクリーム 脱出不能」(2019年/ブルース・ウェンプル監督)
安いタイトルだけ見ると「13金」のバッタモンみたいですが、違います。
ループと時間軸交錯を取り込んだホラー風味のサスペンスです。
構成とか凝っていますし、役者も低予算を思えば至極真っ当、発想も悪くはない、悪くはないのですが、このテーマって良く出来た先達が結構いるので、比べちゃうとかなり割り喰って分が悪い。
男女4人が貸別荘で週末パーティ。途中ヒッチハイカーを拾って5人。
パーティの翌朝、部屋には撮った覚えのない1枚の集合写真が。
写真にはヒッチハイカーも入って5人。撮ったのは(そしてプリントアウトしたのは)誰だ?
買い出しに行ったひとりは戻って来ない(つまり車がない)。
お約束で電波届かず。徒歩で森を抜けようとしたらいつの間にか元の場所に。
ちょっと捻っているのは別の時間軸が交錯していると言うこと。同じ人物なのに時間軸が違うから面識がなかったり認識に差があったり。
これでもう少しキャラの色付けがはっきりしていて、生き残りのルールや細かい設定が明確になっていればかなりいい線行ったのではないかと思うのですが。
景気よくネタをまき散らした割りに回収が雑過ぎ。
別時間軸のヒッチハイカーが拾った車に乗っていた二人(特に後部座席にいた声を出さずに笑う男)は良い感じでしたが。
監督が製作・脚本・撮影・編集を兼ねている「ほぼ自主映画」なので、いささか独りよがりになってしまった感があるのが実に残念。
★比べちゃいけない「良く出来た」先達たち。
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★本日12月28日は岸田森(1939~1982)の命日(黙祷!)
岸田森と言えばやはりSRI牧史郎。岸田絡みは名作揃いですが、本日は物議を醸したこの2作で。