デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

【キンタマ蹴りが】チェンソーマン ♯12【奏でる悲鳴は鎮魂歌】

沢渡アカネとサムライソードと捨て駒ヤクザ(と捨て駒ヤクザの成れの果て「捨て駒ゾンビ」の群れ)が潜伏するビルに突入した公安対魔特異4課。

沢渡と会敵した早川ですが、沢渡が召喚した幽霊の悪魔の前に苦戦(元々は姫野先輩が契約していた悪魔ですが、沢渡が契約している蛇の悪魔に丸呑みされて消滅。呑み込まれた悪魔は沢渡に使い魔のように使役されてしまう。将棋の持ち駒ですね)。

何本もの腕に掴まれ締められ走馬灯。その中に現れたのは勿論、姫野。

姫野に勧められて吸おうとした1本のタバコ。しかし、当時の早川は未成年。仕方なく、そのタバコは姫野が預かることに。

『君が大人になって、何かに寄りかかりたくなったら返して上げる』

あの時の会話を早川目線で。しかもこんな続きがあったとは。

何故かトドメを刺されずに生きている早川。戸惑う早川に幽霊の悪魔が差し出したのは…タバコ。

そのタバコには手書きの文字「Easy revenge(気軽に復讐を)」


復讐に凝り固まった早川の心を溶かす姫野からのアドバイス

目の見えない幽霊の悪魔は相手の恐怖心を察知して攻撃してくる。恐れなければ近づける。

『姫野先輩…もうすぐ俺も行き(逝き)ます』

まるで介錯人のように幽霊の悪魔の首を斬り落とす早川。慌ててヘビの悪魔を呼び出そうとする沢渡の背後には音もなく忍び寄ったコベニちゃんが。何この子、暗殺者の血でも引いているの?

『コベニ、お前はどうして公安に残ったんだ?』

『もうすぐボーナスが出るので…』


自分の楯となって凶弾に倒れた荒井の復讐…じゃないんだ。いや、大事だよねボーナス(20年くらいお目にかかっておりませんが…)。

清々しいなあ、コベニ。

チェンソーマン/第12話・日本刀VSチェンソー(2022年12月27日深夜テレビ東京放送/中山竜演出)

別ルートでサムライソード(デンジ命名「モミアゲマン」)を探すデンジとパワー。

エレベーターの中で倒したゾンビの手を齧るパワーに眉を顰(ひそ)めるデンジ。

『は?肉は肉じゃろ。豚も牛も人も同じじゃ』

『全然違うね』

ホント、仲良しになったなあ君ら。


着いたフロアはゾンビまみれの地獄階。幸いこちらには気づいていないようなのでそのままやり過ごそうとしたら≪こいつらなら勝てる≫と踏んだパワーがいつもの名乗り(「我が名はパワー!」)をあげて突撃。

『ワシは逃げてない!気高い!美しい!』

サムライソードの襲撃を受けた時にバックレこいたのをデンジに非難されたのを根に持っていたんですね。雑魚ゾンビ相手に無双してドヤ顔。清々しいなあ、パワー。

『デンジ、見てろ、そして言い伝えろ!パワーが一番最強じゃあ!』


しかし、そのデンジはエレベーターのドアをそっ閉じして上の階へ。

待っていたのはモミアゲマンことサムライソード。

たとえ相手がゾンビでも殺すことに後ろめたさはないのか? 行いを悔いておとなしく殺されないか?の問いに

『全然』『やだ!』

きっぱりばっさりすっきりさっぱり。清々しさの佃煮ですデンジくん。

『じゃあ斬り殺してやるよ!』

『やってみろよバァーカ!』

サムライソード戦リマッチ開始。ビルの壁ぶち壊して外へ。落ちて弾いて蹴られて着いた先は電車の屋根。パンタグラフの背が異様に高いような気がしなくもないですが、まあそーゆー車種という事で。

『デンジ、お前は何のために戦っている?』

『この生活を守るため…かな』

そりゃジャムもバターも全部乗せトーストや、風呂、仲間のような家族のような同居人(しかもひとりは魔人とは言え女)、これまで欲しても求めても手に入らなかったものが全部あるんですから、守るためなら多少の犠牲は厭いません。

そのまま天井突き破って車内へ。緊急停止して逃げ出す乗客。

高速居合で両腕切断されるも鬼コーチ岸辺の訓えを守って勝利したデンジ。


縦一文字に切断されたモミアゲマンでしたが、

『テメエの手の刀抜いたらさ、真っ二つの体もくっついたぜ』

なんと便利な人体の神秘(人じゃありませんが)。初戦で生き別れになったデンジの上半身と下半身が無事ヨリを戻せたのも同じ理屈なんでしょうね。

パンツ一丁で拘束したモミアゲマン。さて、こいつをどうしよう。黙って警察に引き渡したのでは俺の気持ちが治まらない。

後から現場に到着した早川に「大会」の開催を宣言するデンジ。

『こいつは姫野先輩を弾で撃った。だからこいつも玉を打たれるべきだろう。だから大会を開く。お互いにこいつのキンタマを蹴っていって、警察が来る前に一番でけえ悲鳴を出させた奴の勝ち』

理屈が全く理解できませんが、気持ちは分かります。

『そんな事したって姫野先輩は喜ばない』

一旦は呆れて座り込んでしまった早川ですが、姫野先輩のタバコの文字を再度眺めて宗旨替え。

『なあ…勝ったら何くれんだ?』

出場者エントリー完了、大会開始。キックキックの見本市。轟く悲鳴、立ち昇る絶叫。

『姫野先輩、天国まで聞こえるか? 俺たちからあんたへのレクイエムだ』


嫌な鎮魂歌だなあ…。

お仕事終わって暫しの休息。

散歩してお参りして各自食べたいもの好きなだけ買って、風呂に浸かって大宴会。

これがデンジの守るもの、戦う理由。


いつかこの一時の安らぎを懐かしく悲しく思い出す日が来るんじゃないかと思うと切ないものがあります。

原作組からは批判の的でしたが、私は結構楽しめました。告知こそなかったものの、終了後のティーザー映像から2期製作はほぼ確定。待ち遠しいです。

本日のベストショット

公園の遊具ではしゃぐパワー。無邪気です(尊い)。



 

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★本日12月29日はアンドレイ・タルコフスキー監督(1932~1986)の命日。

SFの概念を変えた(ような気がする)この2本を。