傍若無人、無双・暴走セガール親父。
いつもと変わらぬ沈黙シリーズですが、細かい所、微妙に捻っています。
「沈黙の復讐」(2010年/ラウロ・チャートランド監督)
舞台はルーマニア、ブカレスト。
セガール親父の所属はIDTF。International Drug Task Force。国際麻薬捜査部隊。
9.11の後、麻薬こそテロ組織の財源と認識した合衆国の資金による政府直属の組織…という設定のようです。「DEA(Drug Enforcement Administrationアメリカ麻薬取締局)」の実働部隊「FAST(Foreign-deployed Advisory and Support Teams 国外派遣諮問・支援チーム)」みたいな感じ…だと思います。異国の中のアメリカですね。
本来のターゲットは、麻薬のメーカー卸しであるロシアンマフィアのボス、デミトリ(ダン・バダラウ)になるはずですが、地元の外道ギャング、コステル(ダーレン・シャラヴィ)が、セガールの部下殺っちまうわ、コステルの奥さん殺っちまうわの大暴れ。
互いに利害の一致した親父とコステルが共闘、いつしか友情のようなものまで。
復讐で結ばれているが、そのことを口外できないという意味で実に正しい邦題ではあります。
個人的見どころは突入シーン。
仕事柄、敵のアジトを急襲、ドアぶち破って突入・制圧、というシチュが複数回出て来るのですが、この時に大活躍するのがバタリングラム(battering ram)。
日本語では破城槌。元々は城門ぶち壊すための大掛かりな木槌でしたが、これを一人で扱えるよう小型化したもの。
まずは担当者が「せーの!」(いや、掛け声は掛けないですが)で入口破壊して本隊が突入。
2度目の突入時にはバタリングラム担いだ奴が得意気に本隊合流する様子が妙に可笑しかったです。
クライマックスのテンキーロックの掛かった鉄扉はバタリングラムでは歯が立たないので、親父がショットガンでドアの両脇の壁穴だらけにして蹴破っておりましたが。
本作、割と親父の本人アクションを観る事ができるのですが、カット割りが酷くて折角のアクションが台無し。無駄に凝った(スタイリッシュなつもりの)編集とかいらないので、きっちりどっしりカメラ構えて撮ってください。
本作の後、ドルフ・ラングレン、ジャン・クロード・ヴァン・ダムと共演し、アクションスターとして将来を嘱望されながら、2015年、眠っている最中にアテローム性動脈硬化症に伴う心臓発作を惹き起こして亡くなったダーレン・シャラヴィの代表作でもあります。
★バタリングラム(battering ram)については、こちらもご参照ください。
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★本日1月5日はロバート・デュバル(1931~)の誕生日(おめでとうございます!)
真っ先に思い浮かぶのはコッポラの作品群ですが、今回はペキンパーとスタージェスで。