デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

馬鹿映画じゃない…だと!? キラー・ジーンズ

『分かった事はふたつ。ボリウッドの音楽が好きで、額にはビンディーが』

繊維の熱活性化作用で履いた人の身体に自動でフィットする夢のジーンズ「スーパーシェイパーズ」

その夢のジーンズは手にした人間をささらもさらにする殺人ジーンズでした。しかもこいつはボリウッドの音楽が大好きで、装着マネキンの額にはビンディーが…ってこれ、どう聞いてもド直球大馬鹿映画の設定じゃないですか!?

ところがどっこい。

「キラー・ジーンズ」(2020年/エルザ・ケプハート監督)

「服に革命を!(A REVOLUTION IN MODERN CLOTHING)」「よりよい明日を今日作ろう(MAKE A BETTER TOMORROW TODAY)」をスローガンにしているCCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブじゃないよ。Canadian Cotton Clothers)。


夢のジーンズ「スーパーシェイパーズ」の限定販売を翌朝に控えて旗艦店舗は大わらわ。

カリスマ経営者が来店して従業員を鼓舞、心酔する従業員は見事な演技で大熱狂(気持ち悪さがやたらとリアルで嫌ぁな感じ)。


スーパーシェイパーズの原材料は、インド亜大陸の肥沃な土地で採れた綿。

CCCの売り文句は「搾取工場とは無関係のフェアトレード(fair trade sweatshop free)」。


フェアトレードを乱暴にまとめると開発途上国の人間をこき使っていないし、適正価格で買い上げているよ」

いやあ、何かあからさまに「ウイグル自治区で強制労働があった」と見做されて自社の綿シャツがアメリカで輸入差し止めとなった某企業を彷彿とさせる設定です(時期もピッタリすぎる)。

準備中に倉庫からスーパーシェイパーズをガメて試着したスチャラカ女性店員が犠牲者1号。腰から喰い千切られて、上半身と下半身が生き別れ(別れた直後に死に別れ)。

若いイケメン従業員を呼びつけて喰っている現場監督の女性が第2号。

調子だけいい男性販売員(アジア系)が第3号。人種性別が綺麗に分かれていて見事なバランス感覚(笑)。


従業員の中にはインド人の女性も。彼女が聴いているボリウッド音楽「ハマラ・インディア(Hamara India)」に合わせて軽快に踊るジーンズが実にキュート。

因みに「ハマラ・インディア」は「WWE スーパースター・スペクタクルズ」の公式テーマソング。

★フルで聴きたい方はこちらを。

www.youtube.com


売り場にいた従業員たちを「入れ喰い」にしたジーンズは上半身マネキンの額に血の刻印ビンディーを付けると自身の上半身として装着。

偶然、難を逃れた本日初日の新人リビーとインド人シュルティはハマラ・インディアとヒンディー語ジーンズと対話を試みます。


ジーンズが壁に記したヒンディー語は現地の労働環境を告発するものでした。


馬鹿映画かと思いきや、血まみれ社会派ドラマ。

納品されたスーパーシェイパーズは175本。綺麗に終わらせない締めくくりもいい感じでした。


★馬鹿な方の「キラーなんちゃら」が観たい方はこちらをどうぞ。

 

 

 

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★本日のTV放送【18:00~BS12】