『その速水って野郎は死んだよ。2年前に』
オリンピックで金メダルを獲ったアマチュアボクサー速水隆次(渡哲也)。
スター性のあるキャラと実績にプロ転向が望まれていましたが、突如失踪。
2年後、恩師の死を知って再び人前に姿を現した速水。その周辺でうごめく影。
夢か打算か贖罪か。頂点を目指す男たち。
「星よ嘆くな 勝利の男」(1967年/舛田利雄監督)
57年に石原裕次郎が主演した「勝利者」(井上梅次監督。共同脚本・助監督が舛田利雄)のリメイク(前年の「嵐を呼ぶ男」に続く裕次郎トレス)です。
最初に速水を見つけたのが、元プロボクサーの矢代信吾(二谷英明)。
自身が果たせなかった夢を速水に託そうとしますが、自由人・速水はこれを拒否。
しかし、亡き恩師の家族(妻と娘)が家土地財産を借金のカタに取られている(更に娘のピアノコンクールの海外渡航費を餌に体を狙われている)と知って(手っ取り早く金を稼ぐために)プロ転向を承諾。
プロデビューを果たした速水は破竹の快進撃を続け、ウェルター級5位に。そしてチャンピオンへの挑戦権を。
速水が挑戦する全日本ウェルター級タイトルマッチ。チャンピオン坂井富士夫を演じているのがベンケイ藤倉。
撮影時はデビュー3年目。この翌年、1968年12月、日本ミドル級王者となります(1970年引退。75年の「帰って来た女必殺拳」にも出演。1998年心不全で死亡)。
恩師の財産を騙し取り、矢代にも多額の貸付をしている悪徳プロモーターがチャンピオンシップでの八百長(正確には試合中に軽度の痺れ薬をうがい水に混ぜて速水に飲ませる)を持ち掛けてきますが…。
ヒロインは恩師の娘・圭子(橘和子。この2年後、巨人軍投手の高橋一三と結婚して引退)ではなく、矢代の妹・葉子(浅丘ルリ子)。
デパート屋上のミニ遊園地って何故か郷愁をそそります。
この年の渡哲也の出演作は9本! 翌68年は何と11本! 更に69年は13本!
スター誕生の瞬間です。
因みにタイトルの「星よ嘆くな」は前年に発売され大ヒットした渡の歌のタイトルです。
67年の渡哲也
68年の渡哲也
☜ランキング投票です。デパート屋上の遊園地好きの方はワンポチを。