魅せる要素はてんこ盛り。
「ワールド」から続投のメンバー、「パーク」のレジェンド3名の揃い踏み、キャラ立ちの良いニューカマー。
面子だけでもお腹一杯。
これまでの箱庭パニックと違い、世界が舞台。恐竜バトルは勿論ありますが、全体の印象は「007」「ミッションインポッシブル」。
これまでと違うものを豪華に盛り付けてグランドフィナーレを飾る…という意気込みは買います。買いますが…。
何でこんなに退屈なんでしょ。
「ジュラシック・ワールド 新たなる支配者」(2022年/コリン・トレヴォロウ監督)
前作ラストで世界に解き放たれた恐竜たち。その世界観をきっちり発展させて4年後の世界を表現しているのは立派ですが、いかんせん広げた風呂敷が大きすぎました。
恐竜と人間が共存する世界のリアリティが今一つ伝わって参りません。
「ウルトラマンガイア」もラストで似たような世界(怪獣が当たり前にいる社会)を描いていましたが、あれは完全なファンタジーでした。
加えて登場人物の思惑がバラバラでお話がひとつに収斂されていきません。ざっと並べただけでも、
- 娘とヴェロキラプトルを取り戻すと言う極めて私的な理由で動いている「ワールド組」。
- 改造バッタ(仮面ライダーではない)のDNAを採取というか盗みに来た「パーク組」の二人(ローラ・ダーン&サム・ニール←最終的には久しぶりのクラス会で恋に落ちる老カップルみたいになる)。
- 改造バッタ(イナゴですが)を使って世界の食糧事情の転覆を図るバイオシン社と何故かそこに雇われている「パーク組」の一人(ジェフ・ゴールドブラム)と裏でパーク組に協力するバイオシン社広報部長(ママドゥ・アテイエ)。
- 成り行きでワールド組に力を貸す事になった元空軍パイロット(ディワンダ・ワイズ)。
- パークとワールドの研究チームリーダーだったが、改心して贖罪の機会を窺っている遺伝学者。
これだけの人間が「思う所があって」動いているわけですが、その「思う所」が全くと言っていいほど(という言い方に語弊があれば表層的にしか)描かれていないので、誰にも感情移入できず、ただ事の成り行きを眺めているだけに。
世界の食糧市場転覆という稀有壮大な計画も具体的な目論見が提示されないので、「で、おっさん何が欲しいの?」
娘がさらわれるシークエンスは「コマンドー」と一緒ですが、あのシチュで見せ場を作れなかった時点で負け確定。
劇場で観たら多分(飽きて)寝ていたと思うので配信を休み休み観て正解でした。
では見せ場がなかったのかと言うとそんな事はございません。
パーク組の移送に使われ、クライマックスでは脱出に使われたバイオシン社のヘリコプター。これが実にかっちょいい。
ユーロコプターEC135をベースにした架空のコンパウンド・ヘリコプターで、短いスパンの主翼にそれぞれトラクション・プロペラが取り付けられています。
何故これにグッと来たかと言えば、そりゃあもうシルエットが「マットジャイロ」そっくりだから。
♪ワンダバダバワンダバダバワンダバダダダ…
この機影を拝めただけで観た価値はありました。
おまけ
★其の壱★
サム・ニールが状況的に立て込んでいる最中、落とした帽子にこだわり、ローラさんから「帽子何て!」と怒られるシーンがありました。
職業的に「インディ・ジョーンズ」を思い浮かべるべきところですが、帽子に対するこだわりと言えば「ルパン対複製人間」の次元大介ですよねえ。
★其の弐★
特に意味はないのですが、イメージが重なったので並べてみました。
★其の参★
この👇ポーズ、もうギャグにしか見えません。
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