サメ(SHARK)とカニ(CRAB)でシャークラブ。ピンと来ない人のためにサブタイ「KANIZAME」を入れる親切設計。
見ようによっては「シャーク倶楽部」もしくは「シャークLOVE」ともとれるサメ愛に満ち溢れたタイトルです。
「KANIZAME シャークラブ」(2022年/マーク・ポロニア監督)
原題は「NARCO SHARK」。
NARCO:麻薬/麻薬捜査官/売人。何とひとつで関係者全員を指す気配り単語。
麻薬捜査官ブラドック刑事の次なる任務は「HT25」と呼ばれるドラッグを売りさばこうと画策する組織への潜入でした。
HT25はサメを原料とした強力な麻薬。激しいトリップを約束しますが副作用としてDNAを改変…って売っちゃ駄目だろ、そんなもの。
まあ、ドラッグの副作用でモンスターってのには「美女のはらわた」(1986年/ガイラ監督)という傑作カルトがあるので、他国の事をとやかくは言えませんが。
この新薬の開発中に「実験失敗作」が次々生まれ、そいつらがプラントの爆発事故に乗じて脱走しちゃったらさあ大変。
プラントにはこんな奴ら👇もいたようなのですが、出番はこのワンカットのみ。
そんな何種類も作れるかぁという事のようで、この後登場するのはタイトルになったカニザメのみ。
はじめまして。カニザメです。
登場人物は、麻薬組織のボスと秘書と子分と研究員と潜入捜査官。ここまで絞ったのになんとまあまとまりのないこと。流石マーク・ポロニア。歩く支離滅裂。
捜査官の語りで始まったと思ったら、研究員の語りに。モノローグの主体をコロコロ変えるなよ。
顔の識別を髭でしておきながら、唐突に剃っちゃうから「あんだ誰?」。それが次のカットでまた髭もじゃになっていて生えるの早ぇなぁ。
HT25を服用するとサメ人間になって徘徊して殺戮を繰り返す(本人はトリップしているつもり)のですが、このサメ人間が文化祭レベルのハリボテ。もうちっとやる気出そうや。
このトリップ殺人も超絶説明不足で「多分そうなんだろうなあ」とこちらが1万歩くらい歩み寄って初めて推察可能に(だから全然別の意味かもしれません)。
HT25の入ったアタッシュケースを皆で奪い合うと言うのが終盤の流れなのですが、このアタッシュ、ボスの子分が持っていたはずなのに、次のカットでは捜査官の手に。
子分はアタッシュごとカニザメに喰われちゃうのですが、ボスが喰われる時にも全く同じデータを使いまわしていて誰が喰われているのか絵的にはさっぱり。
どう見ても背景だけ変えた同じデータ👆です(どっちもアタッシュ持っていますが、アタッシュはひとつなのよね)。
何故か、無駄に気合の入っているクレイアニメ。なんでここだけやる気出した?(「死霊のはらわた」リスペクト?)
最早、作品そのものがバッドトリップ。「信頼」と「最低」が今ひとつに。
★信頼と最低のバッドトリップ。これがマーク・ポロニアだ!
★こちらもお薦め!
★本日、11月11日は今年2月に心不全のため89歳でお亡くなりになった人形師・辻村寿三郎の誕生日。
2000年に本名に改めましたが、我々世代にとって、やはりこのお方はジュサブロー。
代表作は勿論73年のNHK「新八犬伝」ですが、本日はその流れを汲んでいると言えなくもないこの作品を。