『リリカル・トカレフ・キルゼムオール!』
最初のリリカル(lyrical-抒情的な)に騙されがちですが、続く言葉は
TOKAREV KILL THEM ALL!
です。TOKAREVはТокарев。ソビエト連邦が1933年に正式採用した軍用大型自動拳銃。その最大の特徴は「安全装置が無い」。
安全装置が無ければ暴発リスクを伴う「シングルアクション方式の自動拳銃」でありながら、安全装置に類する装備の一切を省いているのです。
KILL THEM ALLは(訳すまでもありませんが)「皆殺しよ!」。
安全装置の無い大型自動拳銃で情感溢るる皆殺し。
素晴らしい詠唱です。さすが、魔法の国の次期女王継承権を持つ魔法少女。
しかし、真に恐ろしいのは魔法ではなく、あらゆるものを物理攻撃を以て粉砕する肉体言語の力です(「魔法は物理で超えられる!」by千代田桃@まちカドまぞく)。
「大魔法峠」(2006-2007年/大島努監督)
『ナースウィッチ小麦ちゃんマジカルて』『撲殺天使ドクロちゃん』に続く「邪道魔法少女シリーズ」3作目。
魔法の国のプリンセス、田中ぷにえは修行のため1年間、地上界の高校で暮らす事に。
見た目の可愛らしさからスケ番グループ(リーダー:姉御)に目を付けられましたが、大地の恵み(野菜)を使役する魔法で一蹴。
謎の男から魔法封印アイテム「アニサキスの像」を入手した姉御らを前にプリンセスロッドが使えなくなったぷにえでしたが…。
『ならば…肉体言語にて語るまで!』
突進してくるザコキャラをかわして腕を取ると、
『プリンセス・脇固め!』『プリンセス・チョークスリーパー!』『プリンセス・フットロック!』『プリンセス・アメリカーナ!(V1アームロックのブラジリアン柔術での呼称)』
躊躇なく極めて落として外して折って。
『なななななんじゃ、この地味で痛そうな技は!?』
『打撃系など花拳繍腿。関節技(サブミッション)こそ王者の技よ』
「花拳繍腿(かけんしゅうたい)」とは、見た目ばかり華やかで中身が伴わない武術のこと。
最後のひとりなった姉御の足を取ると、
『プリンセス・アキレス腱固め!』
あー惜しい!それはアキレス腱固めではありません。アキレス腱に触れてもいないし。完全に膝を極めているので「変形膝十字固め」って感じではないかと。
いずれにしてもスケ番グループは全滅。ぷにえの軍門にくだったのでした。
さて、ぷにえにはマスコット(所謂「使い魔」)パヤたんが。
出逢いは「わくわくマスコット村」。我をマスコットにしたくば力で屈服させてみよ、というパヤたん。しかし、パヤたんは全身の関節が360度回転する特異体質のため、サブミッションが効きません。起死回生のキメ技は…ヘッドロック。
『やれやれ。どんな技で来るのかと思えばヘッドロックか。何とも平凡な技で失望したぜ』
『ヘッドロックが平凡ですって…おめでたい子ね』
『何!?』
『頭蓋骨にも継ぎ目、つまり関節があるのよ。ヘッドロックとはその関節を使って脳を直接攻撃する恐るべきサブミッションなり。サブミッションは王者の技。極められぬ関節など…ない!』
こうしてぷにえのマスコットとなったパヤたんですが、今でも隙あらばぷにえのタマ(命)を殺ろうと虎視眈々。
ぷにえは魔法の国の次期女王継承権を持つ魔法少女ですが、その王位は現女王・田中エスメラルダが前国王を罠に嵌めてクーデターで簒奪したもの。
『あたくしよりも強い魔女はゴロゴロしていたわ。アッコ、サリー、メグ、そしてモモ。あたくしが女王になれた理由はねぇ、自分よりも強い者を斃(たお)して(=殺して)きたからよ』
時折、悪~い顔になるぷにえ母。
力こそ正義。目的達成のためならあらゆる行為が正当化される。その思想は魔女の血脈としてぷにえの中に。
本来の正当な女王継承権者、エリーゼ=フォン=バルバロックが継承権奪還とバルバロック家復興のため、ぷにえに戦いを挑みますが、プリンセス・フィギュア4レッグロックからのプリンセス・STF~プリンセス・腕ひしぎ逆十字~プリンセス・監獄固め~プリンセス・チキンウィング・フェイスロック~プリンセス・モンジバカで全身バッキバキにされて病院行き(モンジバカはブラジリアン柔術の技で所謂リストロック)。
片手にミラクル、片手にサブミッション、心にカール・ゴッチとモフ・ターキンを宿した外道魔法少女。
田中ぷにえに栄光あれ。
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