『魔法は物理で超えられる!』
『物理で殴れば戦は勝てる!』
どちらも「まちカドまぞく」の脳筋魔法少女・千代田桃の名台詞(後者はツブヤイターの自己紹介)。
では相手が「呪い」だったら? 呪いは物理で超えられるのか? 物理で殴れば呪いに勝てるのか?
何か…勝てるみたいです。
「貞子3D(の2Dバージョン)」(2012年/英勉監督)
芸術家・柏田清司の自殺動画(ニコ生)を見た人間が立て続けに自殺。動画はすぐに削除されましたが「呪いの動画」という都市伝説となって独り歩き。
鮎川茜(石原さとみ)が務める女子高でも「呪いの動画」は噂の的。
やがて生徒の一人が自宅の窓ガラスを突き破って転落死(警察は自殺と判断)。
柏田清司は実態を持たない貞子に「器」を与えるべく、女を殺しては井戸に投げ込んでいたのでした。
器を見つける前に柏田が公開自殺した理由は(脚本が超テキトーなので)不明ですが、察するに、
- 貞子の霊の召喚には成功したが、器はそう簡単には見つかりそうもない。
- ならばバズる動画に呪いを込めて拡散し、器の素養のある奴との接触に期待しよう、
という事なのかなぁ。
要するに捕まえに行くのは飽きたから餌撒いて向こうから寄ってきてもらおう、と。
『ネットは広大だわ』by草薙素子改め山村貞子
生徒の自殺を機に茜と恋人・安藤孝則(瀬戸康史←仮面ライダーキバ)は呪いの動画の存在に迫っていくことに…
今回新機軸となったのは茜に超能力が備わっている事。
貞子が十八番の「PC画面からこんばんは」イリュージョンで生徒に掴みかかろうとしている現場に遭遇した茜は悲鳴一閃。瞬間、ディスプレイ木っ端微塵。
この「ブリキの太鼓」作戦は実に有効な貞子対策です。
クライマックスは茜の超能力対貞子の呪いかと思いきや…ってあいやその前に
「君ら誰?」
井戸から這い上がって来た白のワンピースで黒髪ロングの女ですが、貞子ちゃうやろ?
何これ…カマドウマ?
こいつが井戸からひとりふたりさんにんよにん…
まあ、これは柏田が殺して投げ込んだ犠牲者の怨念を貞子が操っているって感じなのかもしれませんが、貞子というよりは「漂流教室」の原作に出てきた未来人とか「物体X」とか「サイレントヒル」のクリーチャーの方が近い感じ。
で、こいつらを茜が石で殴り、鉄パイプで殴り突き刺し…って物理攻撃かい!? しかも効くんかい!?
物理で殴れば戦は勝てる。千代田桃は正しかった。
という「これのどこが『リング』シリーズやねん!」な底抜けホラー。てっきりテキトーに書き飛ばした番外編なのかと思いきや、実はこれ鈴木光司の「エス」を原作にしている「らせん」の直球の続編なんです(嘘吐けぇ!という罵声が四方八方から聞こえてきそうだな)。
主人公・茜の恋人・安藤孝則というのは「らせん」の安藤満男(佐藤浩市)が海で亡くしましたが、貞子との取引で再生した息子(当時3歳半)が成人した姿。原作では彼が主人公。
彼が仕事で入手したとあるマンションの一室で縊首した男の自殺動画。
そこに映っていたのはかつて茜を襲い殺そうとした男、柏田清司。
しかし、柏田はその他複数の殺人事件の犯人として逮捕され、つい最近、死刑が執行されたばかり。自宅で首を吊るなどあり得ない。
という「事件」を皮切りに、安藤が自身の出生の秘密に迫っていくというミステリーなのですが、何をどう間違えると超能力女vsカマドウマ軍団の話になるのでしょう。
エンドクレジットに「脚本協力・伊藤和典」とありましたが、どんな協力したんだ伊藤さん?
おまけ
意図は不明ですが、蛾のビジュアルが多用されており、ちょっと「パプリカ」を思わせるものはありました。
★千代田桃の箴言はこちらから。
★本作の4年後に作られた異色作。
★本作の7年後に作られた残念本家。
★ご参考
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★本日のTV放送【13:40~テレビ東京/午後のロードショー】