デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

【逆万引き本の中には】怪異と乙女と神隠し #1【詠んでならぬ呪い歌が】

(忘れないようにここに記しておこう。これは私、緒川菫子と…口の減らない友人・化野蓮(あだしのれん)とのささやかな友情と別れに関する記録だ)

緒川薫子、閑古鳥が鳴きまくる今や希少本ならぬ希少店となったリアル本屋「みどり書店」の従業員。

ヒマな時間の話し相手は同僚の化野蓮。

普段は寡黙にして糸目の化野くんですが、時折見せる眼光は…。


本日午前零時を以て満28歳になる薫子。店長が冗談でくれた誕生日プレゼントは「逆万引き本」

いつの間にか書棚に「増えている」謎の本。

独り暮らしの家に戻ってまずはシャワー。薫子さんの特徴はとにかくデカイ。

原作からサービスカットをどうぞ。


汗を流したら缶酎ハイ。28歳、おめでとう、私。

薫子さんの本業(?)は作家。

(あの頃は何だって書けたんだ。15歳で新人賞を受賞して…だが、二十歳過ぎれば所詮はただの人。私はただの人だったらしい。あの頃に戻りたいな…)。

トートから零れ落ちる「逆万引き本」。何気なく繰って見る。

日本語っぽいけど微妙に違う。でもひらがなもあるし、要所要所読めるかな。

≪天なるや 月日のごとく 吾が思へる 君が日に異に 老ゆらく惜しも≫

それは万葉集。若返りたいと願う歌。


折角の誕生日。ケーキでも買うかとコンビニへ。そこで異変。体が縮む。靴が脱げる。


折角の巨乳が胸が小さくなっていく…だと!?


リーチインのガラスに映る姿は完全に子ども。一体何が!?

翌日無断欠勤。連絡もつかず店長困惑。

これが1週間も続くと放置もできず、化野くんに「様子見てきて」

化野嫌々家庭訪問。玄関はすんなり開いて防犯意識がばがば。

中は無人。ここで何が。そこに現れた1本の標識。それはここで怪異があった事を示す一種のマーキング。

目についたのは「逆万引き本」。匂いを嗅いで確信。原因はこれだ。


子どもとなった薫子さんは、再びあふれ出した新作アイデアに居ても立ってもいられず、裸足で夜の街を徘徊しておりました。


『アイデアが湧き出て、じっとしていられなーい! 家に帰って執筆だ!…家に? 家ってどこだっけ?』

『菫子さん、子どもの一人歩きは危ない。帰り道が分からないなら、案内しますよ』

化野も認識できなくなっている薫子の目から鼻から耳から血。そして喀血。

『頭が痛い!』

『その姿の反動ですよ。若返ったと思ってますか?子供の形に押し固められているだけで、あなたを構成する縮んだ分の血や肉や骨、あなたの余りは今もその体の中にあるんです』

つまり放っておくと「ひでぶ!」&「あべし!」になると…。

『おかしいよ。何故この姿に驚いてない!?』

『菫子さん…この本を読みましたね』

『それは!』


『声に出して読んではならない呪いの本。呪書と呼ばれている怪異です』

『本を読んだ呪いで小さくなったって言うのか!? そんな馬鹿げた話を信じろって言うのか!?』

『そんな馬鹿げた体になったのに信じないって言うんですか? これはあなたの命に係わる話ですよ』

万葉集の和歌の中には人ではない「何か」が詠んだものが紛れこんでいる。込められているのは「呪い」。

呪いが発症するには条件がある。

「深夜0時頃という時間」「月明かりの下」「28歳以上」「生娘」が音読した場合に限り呪いが発症する。詠み手が生娘である事。詠み手が生娘である事。

『怪異が純潔を証明してくれたんです!』

『頼むから黙ってくれないか。うっかり殺してしまいそうだ』

目血、鼻血、耳血、喀血。もう時間がない。月明かりの下に移動して再び歌を。

今度は反歌ではなく元の歌が添えられた長歌を。

これってあれですか。「ラミパスラミパスルルルルルー」みたいな(ぶち壊しですね)。


再びボン!キュ!ポン!な大人の体に。

一件落着…いやこの本は誰にも渡せない。だってこの本がないと…

本を抱えて走り去る薫子。

何故か瞬間先回りをしてゆく手を阻む化野くんですが、既に歌を暗記した薫子さんはこれを自在に詠唱して大人と子供を使い分けすり抜けかわし…。


『嫌だ!若くないと誰も私の本なんか読んでくれない!』

『どうしてそういう事になるんです?』

『私には!才能なんてないって思い知ったからさ!それでも小説が書きたいんだ!面白くないって誰より自分が分かっている!書いても書いても駄目って言われてまた書き直して…それでも、書きたいんだー!』


『大丈夫、書けますって。勇気は元々あなたの中にある。僕は作家・緒川菫子のファンですから。どうか新作を僕に読ませてください』

万葉集は無事、化野の元へ。

化野くんはこれを持ってとある駅のきっぷ売り場に。

『呪書ですか。これですと闇行きの乗車券1枚と交換可能です』

ここはある種の換金所みたいです。


『今回はやめておきます』

『それは残念。またのご利用お待ちしております。神隠

やはりただの人ではありませんでした化野くん。

実は本作、全くのノーマーク。「このすば」観た勢いと、「デート・ア・ライブⅤ」までの繋ぎくらいの軽い気持ちで見始めたら完全に見入ってしまいました。

冬期同様、春期も1話切りが多そうなので、視聴候補が増えるのはありがたいです。

 

 

 

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