デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

【心に残るショックシーンがひとつでもあるホラーは】ミンナのウタ【良い映画だ】

以前「ザ・ショック」をご紹介した時に≪たとえパチもんバッタもんであっても、心に残るショック・シーンがひとつでもある映画は「良い映画」なんだと思います≫なんて事を書きました。

このルールに従えば間違いなく本作は「良い映画」です。

しかも!絶賛した「ザ・ショック」のアナログ特撮の完コピまで!

くっそー、過去の自分の発言がブーメランになって清水崇を褒めねばならんとは…すげー悔しい。

「ミンナのウタ」(2023年/清水崇監督)

自ら築いた財産を次々喰い潰し、自己破産して尚、累積赤字更新中。完全に(私の中では)ネタ監督になってしまった清水監督。

加えて今回はLDHのタイアップマネーで主演がGENERATIONS from EXILE TRIBEのメンバー全員(本人役)という、普通ならホラー演出云々以前に「ケ!」っとなる建て付け。

評価のハードルが極端に下がっている(こっちは爆笑演出が無ければそれだけで大成功というパンチドランカー状態になっている)ので、かなり甘々な評価ではありますが、近年の清水作品の中では上出来な作品であったと思います。

大規模コンサートを間近に控えたGENERATIONSのメンバーのひとり小森隼がパーサナリティを務めているラヂオ番組の収録日。

局の倉庫にあった30年前の投稿テープ(カセットテープ)に触れた小森が失踪。

マネージャーの角田凛(早見あかり。元ももいろクローバー)は、元刑事の探偵・権田継俊(マキタスポーツ)に小森の発見と保護を依頼。猶予はコンサート開催までの3日間(これを過ぎたら探偵料の支払いもゼロ)。

手始めにメンバーへの聞き取り調査を開始しますが、何故かメンバーの頭には聞いていないはずの投稿カセットテープ「ミンナノウタ」のメロディがこびりつき…。

30年前のカセットテープ投稿者は高谷さな(当時中学生)。彼女は探偵・権田の同級生でした。その記憶はとある惨劇と重なって…。

呪いのテープに呪いの家、30年前の事件に謎の男の子(ご丁寧にも名前が俊雄)。ネタとしては「呪怨「リング」の使いまわしです(OPなんか「今時セブンかよ!?」でしたし)。

マキタスポーツの抜擢は恐らく諏訪太郎(「呪怨「リング」富江」の各シリーズに顔を出している)とイメージが被っているからではないでしょうか。


GENERATIONSのみなさん(勿論お爺さんはアイドルグループの事などビタ一文存じ上げません)は実に「いい感じ」の演技をされていました。

特にちょっと霊感のある設定の中務裕太というお方。『見ない方がいいす見ない方がいいす』『考えたらダメです。取り込まれますよ』…多分、大根の人が言ったら滅茶苦茶浮いてしまいそうな台詞をさらっと流す器用さを見せておりました。


あと小道具。さなの中学時代の文集。今ならワープロデータで製本してしまうのでしょうが、昔ながらのコピー製本(更に遡るとガリ版印刷になる)なのでさなの直筆文字を拝むことができます。この文字を見ただけでさなのサイコパスな感じがびゅんびゅん伝わってきます(さなが大事に抱えていたノートは正に「伽椰子のノート」!)


そして!ホラー映画のショック描写史に確実に載るであろうさなの母親シーン。

先のプチ霊能者・中務くんが呪怨チックなさなの生家(当然廃墟)を訪ねると、中からお腹の大きなさなの母親(山川真里果)が。


同じやり取りを何度も繰り返し、そして最後には…。

このシーンの劇場のリアクションを見て見たかったです。

説明不足な箇所は数多くあり、疑問符は次々湧き上がる(本来主役と言っていい「ミンナのウタ」の鼻歌メロディが全く耳に残らないと言う致命傷もある)のですが、このお母さんの叫びひとつで全部チャラです。

アイドル(しかも男性グループ)ムービーというディスアドバンテージをしっかり自身の土俵で消化したという意味では監督の勝利と言えるかもしれません。

おまけ「ザ・ショック」完コピシーン

👆ザ・ショック  👇ミンナのウタ

 

★ご参考

清水崇華麗なる自己破産の履歴。

 

 

 

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