デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

【俺の名前はニコラス・ケイジ】マッシブ・タレント【レジェンドだ】

『お前はニック・ファッキーーーーーーーーーーン・ケイジだ!』
(You're Nick... FUCKIIIIIIIIING Cage!)

俺の名前はニコラス・ケイジ。人は俺を「レジェンド」と呼ぶ。

最近はこれという作品に恵まれていないが別に落ちぶれているわけじゃない。

別れた妻や一人娘アディともうまくいっていないし、宿にしているサンセットタワーホテルは未払い宿泊費が60万$に達して締め出されたが大丈夫、次の作品をものにできればきっとみんなうまくいく。

だって俺は「レジェンド」なんだから。

「マッシブ・タレント」(2022年/トム・ゴーミカン監督)

原題は「THE UNBEARABLE WEIGHT OF MASSIVE TALENT」。

直訳すると「大いなる才能の耐えられない重さ」。

「存在の耐えられない軽さ(THE UNBEARABLE LIGHTNESS OF BEING)」の捩り…だと思いますが、引用理由は不明(ノリ?)

仕事はあるけど近年アタリに恵まれないいハリウッド・スター、ニック・ケイジ。

スペインのマヨルカ島で農園経営をしている富豪の誕生パーティに顔出すだけで100万$もらえる芸者依頼ならあるが、レジェンドの俺がそんな仕事…。しかし、借金は増える一方だし、仕事はこないし、もう役者としてはジリ貧なのかも。

行くかスペイン。ここで太鼓持ちやって大金稼いだら綺麗さっぱり役者業は引退しよう。

出迎えてくれた富豪ハビ(ベドロ・パルカス)は映画オタクでニコラス・ケイジ・マニア(!?)でした。


活力も生気も失ってリービング・ラスベガス一歩手前👆だったニックですが、私設ニコラス・ケイジ博物館(なん…だと!?)まで作っているハビとの出会いと熱意で引退撤回を考えるように。


主役にこだわらず、巨匠の作品で脇役を演るのもいいかもしれない。個性的な難しい役とか…なんて考えていたらいきなり目の前の奴に殴られた。

『何のために15歳から働いて来た!? クレジットの7番目に載るためか!? いいかよく聞け。お前はニック・ファッキーーーーーーーーーーン・ケイジだ! アディの父親にはスターこそ相応しい。次の役を掴めば復活だ!』

こいつはニッキー。もうひとりの俺、イマジナリー・ケイジだ。


イマジナリー・ケイジは勿論ニックの二役ですが、クレジットはNicholas Kim Coppola(こういうこだわりはグッとくる)。

ハビと一緒に映画を撮ろう!とまで意気投合したニックですが、接触してきたCIAエージェントから「ハビは国際犯罪組織のボスだ(から逮捕に協力しろ)」と告げられ…。

という虚実綯い交ぜになったニコラス・ケイジ「その男、ニコラス」です。

「フェイス・オフ」のリアルサイズフィギュアのショーケースに自身の顔を重ねていくシーンには何故か魔法少女の衣装が飾ってあるショーケースに自身の顔を重ねた「その着せ替え人形は恋をする」のジュジュを重ねてしまいました(重ね焼きの重ね焼き)。


近年の「借金返済キャンペーンだ、安い仕事も受けちゃうぞ」な作品群の中では頭抜けた面白さだと思います。

小ネタの数々に思わず頬が緩んでしまいました。

気がつけば蒲田行進曲になっている終わり方も心地よい。ニコラス好きな方は是非。

 

★虚実綯い交ぜスター列伝と言えば…

★イマジナリー導師と言えば…

★ショーウィンドウに重ねる虚像と実像

★ニックとハビが「人生の名作トップ3」の1本に選んだのが(しかし娘からは大不評だったのが)…

★新旧ニコラスあれこれ。

 

 

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