律『バームクーヘンじゃん 一枚ずつ皮剥がして食べようぜ』
澪『やめろ! なんか痛そうだ』
劇場版「けいおん」のひとコマですが、もしバームクーヘンに痛覚があったとしたら…。
「伊藤潤二マニアック #8 恐怖の重層」(2024年8月25日TOKYO MX放送/村田尚樹演出)
父の13回忌の帰り道。ハンドルを握っているのは容姿に恵まれず母の愛も得られなかった長女・成美。後部座席には子役タレントとして活躍したこともあった二女・麗実と麗実(だけ)を溺愛し続けている母。
可愛かった2歳の頃に戻って思いっきり甘えさせてあげたいという母の歪んだ願望と、歯並びの矯正ひとつしてもらえず放置され続けた姉の積年の恨み。
『麗実は見込があったから手を掛けたのよ。あんたは直しようがなかった。ブスだから』
言ってはならないその一言。怒りでハンドル操作を誤った車は対向車に衝突しかけて側道へ。
ようやく停車して振り返れば、窓から飛び込んで来た道路標識が麗実の顔面直撃。顔の一部が剥がれて垂れて…。
担ぎ込まれた病院でMRI撮ったら麗実の中には頭蓋も内臓もなくただ地層のような重層があるだけ。剥がれた顔の下からまた顔が。
『お嬢さんは層が重なって出来ています。通常なら体内に存在するはずの脳や内臓、骨格が見当たりません。この幾重にも重なっているのは上皮の層です』
『それじゃまるで…バームクーヘンじゃないの!』
人間バームクーヘン。それは21年前、父親が阿神面貝塚遺跡から発掘した古代人の胎児の骨の呪い。
その重層の呪いは姉・成美の身にも降りかかり…
あーこりゃ確かに矯正のしようがないですね。
母は考えました。この重層の奥底には2歳の頃の麗実が眠っているはずだ。呼びかければきっと応えてくれる…。
もちろん、そんなことがあるはず…ありました。
『ママ…ここから出して。ここから出して』
出す? どうやって? そうだ、この重層を上から順番に剥いでいけば…。
バームクーヘン皮剥ぎ競争。遂に首から上が2歳の麗実に。次は全身よ!
2歳の麗実の声を聴いてしまった成美も加わって一心不乱。剥いで削って削って剥いて。
そして現れたのは…
嫌ぁああぁぁあ!
大丈夫、まだ手はある。カッターの刃を顔に刺して母の決意。
『いいこと思いついたの!呪いは私にもかかっているはず。だから私も皮を剥いで38歳の自分に戻ってもう一度麗実を産むわ!成美、見てなさい。行くわよ』
あああああぁぁぁあぁあぁぁ!
何でしょうこの「おろち」と「笑ゥせぇるすまん」を足しっぱなしにしたような全方位バッドエンド。しかも投げっぱなし。
子供が観たらトラウマになること請け合いです。
Aパートの衝撃がデカすぎて、Bパート「漂着物」まで手が回りませんでした。
これはこれで十分気色悪いな…。
★口直しにほっこりしたい方はこちらを。
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