デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

十三人の刺客【1963年版】

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『ちょっと出かけてくる』
『お戻りは?』
『早ければ1ヶ月足らず、遅ければ・・・次のお盆だ』

この台詞だけで100点あげます。

十三人の刺客(1963年/工藤栄一監督)

将軍の血縁であるが故、公に処分できない殿様の暗殺計画。
老中の命で集められた13人の男たちが仕掛ける大名行列襲撃作戦。ほぼ捨て駒として犬死が約束された片道切符の密名です。

タイトルからも分かる通り「七人の侍」の対抗馬として東映が総力戦で挑んだ力作ですが、比べるべきは「七人の侍」ではなく、この6年後に作られたペキンパーの「ワイルドバンチ」でしょう(ワイルドバンチに関しては1月31日のブログ参照)。

監督は「光と影の魔術師」工藤栄一(この映画はモノクロですが)。

傷だらけの天使」でファンになり、必殺シリーズで駄目押し。
特に時代劇のライティングが独特で絵を見れば「あ、今日は工藤ちゃん」と分かるほど。

以前「大岡越前」に「月明かりに照らされた雨上がりの小道を走ってくる刺客の後姿を斜め上方からクレーン撮り」というシーンがあり「おや?」と思ったらやっぱり監督は工藤栄一でした。

割と当たり外れのある人ですが、ゴツゴツと骨がぶつかって軋むようなぶっとい映画の撮れる監督さんだったと思います。
 

★ご参考