三池版リメイクを観た時は「まさかの原典越えか?」と思いましたが、改めてオリジナルを観ると…うむむ、それはちと早計であったか。
「十三人の刺客」(1963年/工藤栄一監督)
冒頭、筆頭老中土井大炊の屋敷前で訴状と共に割腹した江戸家老間宮図書の後姿を捉えた遠景・・完璧な構図です。
この1カットだけでオリジナルの凄さが伝わってきます。
全体構成、台詞などリメイク版は本作を完全踏襲、ほぼ完コピと言っていい仕上がりでした(という事に今気づきました)。
が、しかし、同じシチュエーション、同じ台詞にも関わらず、重み・張りが違うのは役者の力量なのでしょうか。
内田良平扮する鬼頭半兵衛が、片岡千恵蔵扮する島田新左衛門の屋敷を訪ね、島田の企み(鬼頭の主君・松平斉韶の暗殺)を確信した後の別れの台詞、
『また会おう』『…しかと!』
のシーンなんか、ちょっと胸に迫るものがありました(役所&市村も同じ会話していますが、こんな感情の揺さぶりは…)。
朝もやの中を疾走する53騎の明石兵。語り草になっている西村晃(平山九十郎)の凄絶な最期。田んぼの真ん中で狂い笑う明石侍。
これに対抗しようと思ったら、達磨女とか爆薬とか敵兵大増量とか不死身の山の民といった“飛び道具”を投入せざるを得ないでしょう。
結局、新旧どちらも捨て難く…どちらか一方しか観ていない人は是非両方観てあれこれ比較してみてください。
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