今にも沈みそうな移民船(密航船)。二人の子供を両手に抱える女性。
『あなたたちはまだ死にません。いつか必ず誇り高く死ねる日が来ます。その時まで生き抜きなさい』
兄の腕には昇り龍の、弟の腕には猛虎の刺青。
これは侠たちの寓話。
「龍虎兄弟」(2002年/OZAWA監督)
OZAWAとは勿論、小沢仁志の事。劇中では弟、猛を演じております。
兄、昇を演じるのは哀川翔。
横浜中華街(漢民街)を舞台に描く、同じ父の血を引く黒会社のボス・王烈との凄絶な死闘(私闘)。
OZAWAの性格なんでしょうか、実に暗い。ジョン・ウーの映画から「気の抜ける」要素を全部とっぱらって、悲壮のミルフィーユにした感じ。
こんな2丁拳銃の使い方思いつくの、後にも先にもOZAWAだけでしょう。
兄弟が父と慕う武田組組長に、「塀の中を行ったり来たり」清水健太郎。
漢民街の長老に「死神博士」天本英世。
兄弟を憎からず思っているヒラ刑事に「Gメン75小田切警視」夏木陽介。
『(手錠なんか)意味ねえぜ』
『分かってるよ。こうしとけば(あの世で)兄弟道に迷うこたぁねぇだろ』
泣けます。さめざめと。