『ずっと3人でいられると思ってたのに』
あ、その台詞どこかで・・・。
「時をかける少女」(2006年/細田守監督)
巷で大評判だったアニメ版「時かけ」をようやっと観ました。
リメイク、ではありません。
時間軸の繋がったアナザー・ストーリーです。
大林版が「辛気臭さギリギリの奥ゆかしさ」だとしたら細田版は「能天気スレスレの開放感」といったところでしょうか。
タイム・リープという能力を、自分の意思で自在に使えること、にもかかわらず恐ろしくく~だらない事にしか使わないこと、実は使用回数に限りがあること、あたりが新機軸。
この不思議な能力に悩む主人公、紺野真琴(高校2年生)に「年頃の女の子にはよくあることよ」と軽く諭す「魔女おばさん」。彼女の名前は「芳山和子」。
「あたしにもあったわ、そんな事」と視線を移す先にはセーラー服の彼女と学生服の男の子二人の記念写真が。
ある年齢以上の人の多くはこのシーンに「やられて」しまった事でしょう。
真琴にも一緒につるむ男の子が二人。
男でも女でもない「ずっと友達」でいられると思っていた二人。
冒頭の台詞は、私の魂の1本「大阪最強伝説 喧嘩の花道」でも使われておりました。
タイムトラベルのパラドックスに関して語るのは野暮というものでしょう。
真琴の声(仲里依紗)を「リアル(等身大)」ととるか「下手糞」ととるかで評価は分かれるかもしれません。巧いか下手かで言えば下手です。特に号泣シーンはこっちが泣きたいくらいボロボロです。でもこれはこれで「アリ」なのではないかと。
テイストとしてはジブリの「耳をすませば」に近いものを感じました。
ある種「神」扱いされている青春映画の金字塔に果敢に挑んだ佳作だと思います。