既に2月。間が悪いにも程がありますが、ネズミ年なんですね、今年。
サイトの主旨としては、「ウイラード」「ベン」といったネズミ映画に話を繋げたい所ですが、やはりネズミと言えば、
「滅びの笛」「滅びの宴」
(西村寿行)
その花が咲くと災いのしるし・・・これはウルトラQ第18話「虹の卵」のオープニング・ナレーション。その花とはさざめ竹、災いとは怪獣パゴスの出現でした。
「滅びの笛」は熊笹の大量開花で幕をあけます。
そしてドブネズミの異常繁殖という災いがやってきます。
動物パニックものなのですが、描かれるのは国・役所の脳タリンな対応、人間の環境破壊、そして地方と中央の対立です。
まず韮崎が壊滅。次いで甲府。
ペストの発生を恐れた政府は県境を封鎖して山梨県民の避難ルートを完全遮断。
『山梨県民を見捨てるのか!』
ペスト菌を抱えた甲府市民は人間爆弾となって帝都突入のテロを試みる・・・。
社会派ドラマというスタンスを徹底していれば文学史上に残る傑作になったと思います。
しかし、そこは西村寿行、そんなお上品な作品にはいたしません。
この作品に限りませんがヒロインは必ず拉致監禁暴行のフルコースを2回以上こなさなければなりません。捨て鉢になった暴徒は必ず徒党を組んで女(何故か人妻が多い)を集団誘拐して暴行暴行また暴行。
必要なのか、その描写!と突っ込むこと幾度。やっと話が本筋に戻って、あ、そうかネズミか、と気が付く始末。西村寿行、女性に何か恨みでもあるのでしょうか。
誰にでも薦められる作品ではないのですが、豪腕な筆致でぶんぶん振り回される事は確実です。「笛」「宴」と2巻続けてお読みください。