『えらい匂いやの。加助、ナフタリンがプンプンしちょるぞ』
『ああ。一生一度の死に装束。虫に喰わせるわけにはいかん思うての』
お笑いと見せかけてこんな台詞があるから喜八っつぁんは油断ができません。
(1978年/岡本喜八監督)
昭和25年の北九州。激化するヤクザ抗争を「民主的に」解決するため警察署長の提案で開かれることになった野球大会。
野球と言っても選手全員ヤクザ者。ただで済むはずがありません。
台風の目は昔かたぎの岡源組と新興の橋伝組。
岡源組の喧嘩番町・加助に菅原文太、橋伝組の懐刀・花巻に岸田森、ちょいと訳ありな助っ人ピッチャー・橘銀二に北大路欣也、やはりちょいと訳ありなコーチ役にフランキー堺という布陣。
二人の男に愛される飲み屋のおかみお仙に日活代表・宮下順子。
(余談ですが、私が初めて観たポルノ映画は宮下順子の「赫い髪の女」です)
やくざ抗争という形をとりながら、最期は占領軍に矛先を向けるあたりが流石、岡本喜八です。
『お前ら、沖縄の強制労働が怖いか?第七艦隊が怖いか?よし、とことんやっちゃれ!』(警察署長)
コメディ撮っても反骨精神旺盛な岡本監督でした。