『上総の国と言えば聞こえはいいでしょう。花の都・大東京を彩るは金波銀波、あまたのネオンと聞きますが、ここ…千葉の過疎地にはジジババの金歯銀歯がネオンを優に凌ぎます』
雑巾がけ5年、飯炊き3年、何の因果か部屋済み修行。
ヤクザになってはみたものの、暴対法この方、田舎に極道は影も無し。
シノギはチンケなみかじめケツモチ用心棒。
オヤジたちは産廃の中間処理、つまりゴミクズ事業にご熱心。
看板・提灯、無用の長物。
死ぬまでにやってみたいなヤクザな仕事。俺たちだけでもやってみる?
「武闘派」(2012年/浅生マサヒロ監督)
千葉の片田舎で燻る部屋住みヤクザの蜂谷(本宮泰風)と嵯峨根(山口祥行)。
100年経っても芽が出なさそうな集金仕事。素人さんにも舐められて、煮詰まり手詰まり行き詰まり。極道稼業に明日は無い。
『やってやろうじゃねえかよ、俺たちだけでも。ヤクザはヤクザらしく。いつだってよ、生きるか死ぬかの大博打すんのがヤクザじゃねぇのかよ』
自分たちのやり方でシノギを見つけて荒稼ぎしていく二人。
ジャージからスーツへ。形は大事。
ここに最凶の厄ネタ、組抗争華やかりし頃に血の雨降らせてフィリピンに雲隠れしていた頭の山崎(小沢和義)が10年ぶりにカミンホーム。
ヤクザらしいヤクザが現れたと新たな展開に期待する二人でしたが、厄ネタはどこまでいっても厄ネタ。
やがて組を割る内部抗争に…。
ごついタイトルとは裏腹に前半は田舎の軽快なネオチンピラ・グラフィティ。
後半は弱小組織の仲間割れにすぎないとは言え、サラリーマン気質に染まった面々が極道の矜持に目覚め戦いに身を投じていく展開。なかなかに胸熱。
産廃処理やっている狡っ辛い地方ヤクザの親分って「岸和田少年愚連隊 カオルちゃん最強伝説 妖怪地獄」の島田榮一と丸被り。セコイのに憎めない。得な性分です古井榮一。
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★本日2月12日はマイケル・アイアンサイドの誕生日(おめでとうございます!)。
目、鼻、唇(特に下唇)、生え際、顔面パーツの全てが個別に自己主張するド迫力福笑い。
余人をもって代えがたい代表作はやはりこれ。