ハピネットから3作抱き合わせBOXが発売されたのが2003年7月。
以来、単品を出せ!さあ出せ!はよう出せ!今出せ!すぐ出せ!の声も虚しく苦節10年。遂に単品(しかもリストア版BD)化されました。
偉いぞ、パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン。
クラシックな特撮モノがBD化されると、合成やらメイクやらのアラが目立ってしまう、なんて事がままありますが、ディック・スミスに死角無し。
ハゲ頭ドッカーン!のシーンなんか、肉の質感がよりリアルになって、「嗚呼、このおっさんは本当に頭を吹き飛ばされたんだろうなぁ」と納得してしまうくらいです(するなよ)。
改めて見直すと、クローネンバーグの演出の巧さに唸らされます。
ここぞ!というシーンではディック・スミス渾身の特殊メイクが炸裂しますが、その他の多くは役者のリアクションだけでスキャナーの能力を魅せなければなりません。
美術館でキャメロン(スティーブン・ラック)を物陰から一瞥するキム(ジェニファー・オニール)。
その視線によって瞬間的な精神攻撃に晒されるキャメロン。
ジェニファーの視線ひとつで、彼女もスキャナーであること、しかも、キャメロンの防壁を突破できるほどの力を持ったスキャナーであることが分かる名シーンです。
そして衝撃の登場となったレボック役のマイケル・アイアンサイド。
その顔面芸は至高の域、匠の技。特に下唇の存在感は他の追随を許しません。
彼のスキャニング能力は、あの下唇に宿っています。間違いなく。
超能力バトル以外でも、レボック護送時の護衛車大破とか、逃走用スクールバスのレコード店突っ込み炎上とか、ハッキング時のデータ自爆プログラムの煽りを喰らったガソリンスタンド大爆発とか結構華々しい見せ場もあり、実にエンターテイメントしています。
特典は予告のみ。メイキングとかはいらないけど、クローネンバーグの音声解説は欲しかったなぁ…。
※参考:「その謎の習字幕は何だ? スキャナーズ2」
→2012年6月11日
「タイへ? スキャナーズ3」→2012年6月12日