デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

昆虫大戦争

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いかレスラー」「コアラ課長」「ヅラ刑事」そして「日本以外全部沈没」と馬鹿一筋の河崎実監督がこの夏、ギララを復活させるらしい。その名も、

「ギララの逆襲 洞爺湖サミット危機一髪」

ロクな映画になるわきゃないのですが、「ギララなら(いじられても)いいか」と思わせるマイナーチョイスが素敵です。オリジナルは勿論、

「宇宙大怪獣ギララ」(1967年/二本松嘉瑞監督)

で、翌年に同じ二本松監督が撮った「カルト一歩手前」の残念賞が

「昆虫大戦争 (1968年/二本松嘉瑞監督)

水爆を搭載した爆撃機が昆虫の大群に遭遇して墜落。
(場所は亜南群島の小島となってますが、後に「日本人なら忘れられない太平洋戦争の激戦地のひとつ」という説明的台詞があります)

行方を追う西側某国(どことは一言も言ってませんが、日本の同盟国だそうです)と東側のスパイ、ナチスへの恨みから全人類を呪い、殺人昆虫を大量育成しているユダヤ人女性(どう見ても普通の白人だが)と東京の昆虫学者が絡むという、実に「戦後」チックな物語。

核兵器紛失の暗号として「折れた矢作戦」という言葉が出てきてちょっとびっくり(「ブロークン・アロー」ですよね)。

割ともっさりした展開なのですが、オチのつけ方が凄すぎて記憶にはばっちり残ります。

前年に作られた「魚が出てきた日」の影響かもしれませんが、ビタ1文救いがないアンハッピーな結末は核に対する監督の悪意を良く表していると思います。