『お礼に何を』
『俺が死んだら情けを』
フィルムノワールにだってこんな台詞出て来ません。
「過去のない男」(2002年/アキ・カウリスマキ監督)
出稼ぎ先のヘルシンキでオヤジ狩りに遭い、記憶をなくした男。行き着いた先は貧乏人が違法占拠するコンテナハウス。どん底のスローライフ。
男と救世軍の女兵士イルマ。ゴリゴリの中年(それも後半)同士。不器用な恋愛の始まりです。
とにかく皆貧乏(でも煙草だけは誰一人手放さない)。偶然と偶然が出会い頭にぶつかってゆっくりと転がっていく話のテンポとコントのような会話のリズムが絶妙。
面食らったのはラスト近く、電車の食堂車で男が食事をしているシーン。
どう見てもにぎり寿司。更にウェイターがダメ押しで「日本酒です」
ほえ? そう言えばさっきから妙な歌謡曲がBGMに。クレジット見てびっくり。
ハワイの夜・・・・Crazy・・クレイジー・ケン・バンド?!
なんでもカウリスマキ監督は大の日本通なんだとか。
中でも小津と黒澤に心酔しているらしい。あ、それでこのテンポ、このリズムか。
※写真は、拾ったジュークボックス鳴らしてご機嫌コンテナライフを満喫する「過去のない男」。犬の名前はハンニバル。