大怪獣も東京も(画面に)現れない二重粉飾映画。
「大怪獣東京に現わる」(1998年/宮坂武志監督)
舞台は福井県のまったりした地方都市・三国町。主役は専業主婦・田所君江(桃井かおり)と愉快な住民。
のどかな日常に飛び込んできた大ニュース! なんと東京に「火を吐くトカゲ型大怪獣」が出現、瞬く間に東京を焼け野原に!
更に! 福岡に「空飛ぶカメ型巨大生物」が! 2匹は引かれあうように西に東に歩を進め遂には・・・。
怪獣も震災もパニックもビタ一文画面に映さず、ひたすら市井の人々のリアクションだけで話を展開させる無謀な構成。書いたのはフリーキー&アナーキーな脚本家NAKA雅MURA。監督は後に「カオルちゃん最強伝説」で異形の怪獣映画をモノにする宮坂武志。
カオルちゃんになる前の竹内力が「神様(!)」役でゲスト出演。相方の田口トモロウも狂った高校教師役で大あばれ。
個々のエピソードは割とどうでもよく(特に妊娠カップルの話はまるまるいらない)、オチもちょっと寝ぼけた(広げた風呂敷を畳みきれなかった)感が強いのですが、「クローバーフィールド」に先立つ事10年の発想と「カオルちゃん最強伝説」の露払いで十分元はとれます。
にしても田口トモロウはどこで何やってもきっちりかっちり田口トモロウだ。凄い。