映画の字幕に誤訳はつきものですが、モノには限度ってものがあります。
(1999年/ディーン・パリソット監督)
『トカゲヘッドに懸けて、父の名に懸けて、この復讐は必ず果たす』
これは、登場人物のひとり、アレックス(写真中央の人)の決め台詞。
字幕版で観た時は「まあそういうことを言っているんだろう」くらいに思っていたのですが、深夜テレビの吹き替え版を観てたら
『グラブザーのハンマーに懸けて、ウォーバンの息子たちに懸けて、お前の仇はきっと取ってやる』とか言ってるじゃないですか。
なんじゃこりゃと思って原語調べたら「By Grabthar's hammer, by the sons of Warvan, you shall be avenged !」 ええ!?
ギャラクシークエストのストーリー説明すると大変なので割愛しますが、これ、物凄~く重要な台詞なんです。
イギリスの舞台役者が、アメリカのSFテレビ番組に宇宙人役で出て大ブレイクしたもののその後の役者人生は鳴かず飛ばず。人生転落のきっかけになったTV番組を憎み、二度と口にしないと誓った決め台詞、その禁を破る瞬間の台詞なのよ。
断じて「トカゲヘッド」などというお笑いの台詞であってはならんのです。
字幕担当したのは「誤訳の女王」としてその筋ではつとに有名な某大先生。
この人が字幕やってると分かると映画観る気が半分以上萎えちゃいますね。
さて、本作にはオタク泣かせな名台詞も。
『分かってますよ、ただのテレビ番組だって。ベリリウム球体なんて存在しないし、転送装置もない、それに…』
(I understand completely that it's just a TV show. I know there's no beryllium sphere... no digital conveyor, no ship...)
『ちょっと待て…待つんだ…全部本当の事なんだ!』
(Stop for a second, stop. It's all real.)
『やっぱり!ああ知ってました!知ってましたよ!』
(Oh my God, I knew it. I knew it! I knew it!)
いつまでもSFドラマの中に生きているファンを一度は「現実を見ろ」と突き放したタガート艦長(の役を演っていたマイケル・ネズミス…の役を演っていたティム・アレン)でしたが、全ては現実だったのです(と言うか現実になったのです)。
オタクの愛は宇宙を救う…。
もうひとつ、触れておきたいのは紅一点シガニー・ウィーヴァー。
この時、シガニー姐さんは50の大台に乗るや否やというお歳でしたが、きっちり「エロ担当」として機能しているのが何とも天晴れでございました。