デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

あの窓が怖い! 吸血鬼ノスフェラトゥ(1922年)

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トランシルベニアの吸血鬼が大量のネズミと共にブレーメンへペストをばら撒きにやって来る!

吸血鬼+疫病。ヨーロッパ人にとっては血を吸うおっさんより疫病の方が遥かに恐怖な事でしょう。

「吸ノスフェラトゥ
(1922年/F.W.ムルナウ監督)


ブラム・ストーカーの版権が買えなかった為に「ドラキュラ」と呼べず、“病を運ぶ者”ノスフェラトゥとなりましたが、この名前で大正解。

ゴシックホラーですが、今日的な「パンデミック・ホラー」の側面もあるのが面白いですね。

有名な「階段を上る影」のシーンもいいですが、なんと言ってもオルロック伯爵(ノスフェラトゥ)の住む屋敷を映したカットが怖い!

「あの窓を見て!」と恋人が指差す先にあるのは、やたらと窓が多く、一部斜めに傾いでいるパースの狂ったデッサン画のような古びたマンション。

これほど人を惹きつける建物の画を観たことがありません。静止画にしてしばし見惚れてしまいました。

ノスフェラトゥの造形は、後の紳士的なものとは異なり、ネズミを思わせる異形の風貌となってます。

トビー・フーパーの「死霊伝説(セイラムズ・ロット)」の吸血鬼がモロこの形でした。棺桶を横抱きにして歩く様は、その長身さ故、「ファンタズム」のトールマンを思わせます。