デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

祝!BD化! マウス・オブ・マッドネス

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一時、廃盤DVDに「マジすか?」な価格がついておりましたが、待望のBD化。

しかも廉価。定価2500円。Amazonで予約すれば送料込みで1,500円以下。更にカーペンターの音声解説つき。

これでOPとED以外スタンダード・トリミングなどという「カーペンター舐めてんのか!?」なVHSとはおさらばです。

ありがとう、ワーナーホームビデオ

 

「マウス・オブ・マッドネス」

(1994年/ジョン・カーペンター監督)

 

スティーブン・キングを超えるホラー作家、サター・ケーンが新刊「マウス・オブ・マッドネス」の執筆中に失踪。

出版社の依頼でその行方を追う事になった保険調査員ジョン・トレントサム・ニール)が覗いてしまった恐怖の淵。

小説世界が現実を侵食する…カーペンター自らが“黙示録三部作”と呼んでいる世界の終りシリーズ最終章(他の2本は「遊星からの物体X」と「パラダイム」)。

原作こそ無いものの、下敷きとなっているのはラブクラフトクトゥルー神話

タイトル(In The Mouth of Madness)は勿論「狂気山脈」(At The Mountain of Madness)から。

サター・ケーンの居場所のヒントは彼のペーパーバックの表紙にありました。

描かれた実線に沿って切り抜いて組み合わせるとある地形が。それはニュー・イングランドアーカムが、そしてインスマウスがある所。

うっかり見逃しておりましたが、トレントが泊まる宿って“ピックマンのホテル”だったんですね。

「ピックマンのモデル」の舞台はボストン、つまりニュー・イングランド。登場するのはおぞましい画を描く画家ピックマン。

果たしてピックマンのホテルのロビーにも1枚の画が…。

奥行きのある構図がキューブリックっぽいだろ」(カーペンターの音声解説)。

言われてみれば、トレントが登場するカットの構図(テーブルを挟んで奥中央に雇い主、手前にトレントと保険請求者というシンメトリーな位置関係)は「シャイニング」のインタビュー・シーンそっくりです。

続く、喫茶店の手前に雇い主とトレント、中央奥(窓の外)に謎の男、という構図も奥行き×シンメトリー。男の得物が斧ってのも「シャイニング」。

何度観ても新たな発見があるデストピア映画の傑作です。