「(撮影が)早い!(制作費が)安い!(作品が)面白い!(しかも大量生産)」
B級映画の吉野家「ロジャー・コーマン」珠玉の一発。
「血のバケツ」 (1959年/ロジャー・コーマン監督)
芸術家(気取り)の連中が語らっているカフェのウェイター、ウォルター(ディック・ミラー)はチビでノロマで臆病者。いつもみんなの笑いもの。
『くっそー、俺だっていつか立派な彫刻家になったるぞぉ』
ある日、ウォルターはうっかり大家の猫を刺殺。焦ったウォルターは、猫を粘土で固めて彫刻に。タイトルは「死んだ猫」。
これをカフェに持っていったら「素晴らしい!」と大人気、大評判。
『やったー!これで俺も芸術家だ。ようし、もっと作るぞー』
しかし、カフェのオーナーは気づきます。彫刻から猫の毛がはみ出ていることに。
『あいつ・・・まさか・・・』 そこへウォルターの新作が!
『今度は、等身大の男を作ったよ。タイトルは“殺された男”』
『!!!』
おどろおどろしいタイトルがついてますが、直接的な殺人シーンや、彫刻の製造工程の描写はありません。
内気な青年が「一目置かれたい」ばかりに彫刻作り(=人殺し)に精を出す様をコミカルに描く「狂った」映画です。
紋切り型にも程が或るひねりの無いオチが残念ですが、「リトル・ショップ・オブ・ホラーズ」のセット使い回して5日で撮ったという匠の技をご堪能ください。