デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

我、汝に呼ばわる、主イエス・キリストよ。 惑星ソラリス

イメージ 1

初見は78年7月16日。今は無き日劇文化(なんと併映は「戦艦ポチョムキン」!)。31年ぶりの再見です。

 

惑星ソラリス

(1972年/アンドレイ・タルコフスキー監督)


31年前ったら高校1年っすよ。ええ、寝ましたとも。爆睡。

ただ、不思議と「つまらない」という印象はなかったですね。

で、時は流れて。なんと、こんな哀しくも美しい作品だったのか。

テーマ曲はバッハのコラール「我汝に呼ばわる、主イエス・キリストよ」

神亡き時代の実存の調べを選んだ「2001年」と実に対照的です。

壮大流麗なツァラトゥストラに比べ、悲しく優しく。この曲に主人公の追憶の映像が重なった途端、不覚にも涙が。

心の深淵を覗き込んだら、深淵もこちらを見つめていた・・「スフィア」「イベント・ホライゾン」そしてリメイクと反復されまくっているテーマですが、37年経って尚ソラリス越えを果たした作品はありません(多分←弱気)。

「2010年」は、宇宙に出るまでが半端なくタルいですが、ソラリスは宇宙に出るまでの時間の、水の、意識の流れが堪らなく美しく観ていて飽きません(東京のシーンは微妙)。

DVDの音響も素晴らしく、雷鳴のシーンとか思わず窓を振り向いてしまった程リアル。

ひとつだけ文句を言わせて頂ければ、特典てんこもりなのに「日本語字幕無し」ってのはいくらなんでも酷過ぎじゃあないかい。

★ご参考