デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

ヒント?撒き餌? CURE キュア(のチャプター・タイトル)

f:id:zombieito:20200701155815j:plain


既にレビュー済み(2008年8月27日参照)ですが、AMAZONでDVD購入したので(てっきり廃盤だとばかり)。

改めて確信しました。傑作です!

「CURE キュア」(1997年/黒沢清監督)

やはりケーブルとは画質が違います。カメラの動きに合わせて雲が移動する奇跡映像やディテール不鮮明だった殺害現場もすっきりくっきり。

人間の意識の底に燻る不満を殺意に変えてサルベージする破滅の伝道師、間宮(萩原聖人)。

間宮を追いながら、いつしかその後継者となっていく刑事、高部(役所広司)。

このDVDくらい「監督音声解説」が欲しいソフトもないのですが、残念ながら特典は予告のみ。

代わりと言ってはなんですが、各チャプターに監督自らがつけた「章タイトル」がつけられています。これがまた意味深で。

間宮が登場する千葉の海岸シーンに「アレキサンドロス」、

間宮と高部が対峙する取調べシーン(※写真)には「舞踏病の男」、

謎の木造治療施設には「ミノス王の宮殿にて」・・・

なんかエヴァのサブタイみたいですね(笑)。ヒントなのかギミックなのか。騙されて探ってみるのも一興かと。

ミノス王の宮殿ってのはクレタ島クノッソス宮殿の事ですが、宮殿ではなく霊廟という説もあるそうです。

実は公開当時、監督によるノベライズも読んでいるのですが、脚本を書く才能と小説を書く才能は全く別の領域に棲んでいるものなのだという事を深く実感いたしました。