デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

伊丹映画の悪しき後継者。 おくりびと

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『触らないで!けがらわしい!』

脚本でどう表現されていたかは知りませんが、この“けがらわしい”は“汚らわしい”ではなく“穢らわしい”でしょう。

本木、山崎に比べると世間的には低評価のようですが、この台詞ひとつで広末はOKです。

おくりびと(2008年/滝田洋二郎監督)

痴漢電車シリーズを心の友としてきた身にとって滝田監督の世界進出は感慨ひとしおですが、手放しで喜べないのが正直な所。

脚本はちいとばかりあざと過ぎますが良く出来ていると思います。問題は見せ方。

納棺師というニッチな題材、全く美味そうに見えない喰い物シーンに山崎努と、正に伊丹映画の後継者ですが、私はアンチ伊丹なのであまりそっちには行って欲しくなかったというか。

職人監督の本領発揮で万人受けする味付けになっているのが一番の不満。

もし、この題材を根岸吉太郎とか高橋伴明とか(ちょっと歳だが)黒木和雄といったatg系の監督が撮っていたら、歴史に刻まれる作品になっていたかも、と思います(オスカーは取れなかったでしょうが)。

役者陣は総じて文句無し。存在感ありまくりな山田辰夫アニキの変わらぬ不良っぽさが素敵でした(ご冥福をお祈りいたします)。