デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

実は物凄い変態芝居なのでは? 舞台版 鉄人28号

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『行け、鉄人! 東京の空に、未来を描け!』

アニメ絶賛、実写ボロクソなあの題材をなんとこの人が舞台化。

鉄人28号(2008年/押井守脚本演出)

いきなりセイタカアワダチソウの群生する埋立地という装飾を見た瞬間、横山光輝の「鉄人」は諦めました(笑)。

これは鉄人をダシにして「戦後昭和史の再構築」というライフワークをやっつけた押井の押井による押井のための舞台です。

だから、PX団もフランケン博士もブラックオックスも不要。鉄人唯一の見せ場が“故障したブルー・インパルスに代わって東京オリンピック会場の空に五輪を描く”という「なんじゃそりゃそりゃ」なものでも怒ってはいけません(いや、怒るよな、普通)。

正太郎くんは南果歩。無理があるにも程がある人選ですが、歌が下手という事を除けばマニアック人事かも。

ラスト、女性の格好で登場するのですが、途中、雄だと思っていた野犬“有明フェリータ”が実は雌だった、という分かり易い前フリがあるので、まあ、そういう事なのでしょう。

これで敷島博士(池田成志)と犬走一直(ダイアモンド☆ユカイ)が正太郎を奪い合うという常軌を逸した構図が理解できます(良く考えたらものスゲー変態舞台じゃねえか)。

果歩さんはケツネコロッケのお銀と二役ですが、何故ここに女立喰師が必要なのか理解不能(押井が出したかっただけでしょう)。

まあ全体的に冗長・稚拙なのですが、鉄人が立ち上がった時だけは盛り上がりました。川井憲次はいい仕事しています。「慟哭の巨人」は名曲(その他の歌は歌詞が「う~む」ですが)。

ディープな押井ファン以外には多分苦痛なんじゃないかと思います。

★ご参考