デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

主役:猫。 SPACE BATTLESHIP ヤマト

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なあ、演出とか編集って言葉知ってるか?

ただ好きな映画のコピペと自慢のCG並べただけで映画になると思ったら大間違いだぞ。

SPACE BATTLESHIP ヤマト(2010年/山崎貴監督)

もう、整理がつかなくて途方に暮れちゃう突っ込み所博覧会(アニメと比べてどうこうなどという次元ではありません)。

まず気になったのはヤマトの大きさ。設定だと全長534.02m、全幅93.62m。大和の全長は263.0m、全幅38.9mなので倍以上。

つまり本作のヤマトは、九州・坊ノ岬沖に沈んでいた戦艦大和ではなく、大和を模したオリジナル宇宙戦艦って事です。だったらヤマトじゃねぇじゃん!

大和の搭乗員は俊工時で2,500名、最終時で3,332名。航行原理が違うとは言え、その倍(容量8倍)の大きさのヤマトにも相当量の乗組員がいたはずです。

これが消耗戦に次ぐ消耗戦で減少して行き、疲弊していく様が戦闘のリアリティだと思うのですが、監督も脚本家も戦争映画観た事ないのか?(地球近くに戻ってきた時には生存者37名になっていましたが、よく船動かせたな)

戦艦CGの巨大感・威圧感無し。艦内は潜水艦並みの閉塞感(「Uボート」のカメラワークを見習え。照明も陰影つけろよ。ぺっかりのっぺりで渡鬼と変わらんじゃないか)。

編集上なければならないカットがことごとく無いのは何故だ?

第3ブリッジを切り離す(見捨てる)時の内部描写、攻撃を受けるシーンの船外描写…、演技も戦闘も一方的なリアクションだけでは成立しない(勿論、テクニックとしての例外はある)という基本的な事も押さえていないとは。

時間経過の描写がないもんだから、沖田艦長のキメ台詞もギャグにしか…。

主役は言うに及ばずですが、他の役者も評価以前の三文芝居。山崎努に至っては全カットに「金貰っちゃったし、こんなもんでいいか」なフキダシが付きそうなエコノミー演技。

JJ版「スタトレ」、「ギャラクティカ」、「スターウォーズ」、劇場版「マクロス」などどこかで観た絵柄満載。ワープ・セックスでまさかの「さよならジュピター」リスペクト。

最後が「アルマゲドン」かよ! と思ったらエンディングにスティーブン・タイラー。冗談にしてもタチ悪すぎ。

ツンデレ森雪な改変は許すとして、ガミラス陸戦がスターシップ・トゥルーパーズになり、アナライザーがR2-D2になった挙句にトランスフォームしてロボコップになったのはびっくり仰天。

古代は自分の事“俺”って言うし、すぐ感情的になってキレるし、艦長の命令無視するし、軍人としても司令官としても失格。

脚本家に軍隊規律というものに関する知識がビタ一文なく、愛だの恋だの想いだの並べていればいいだろうという安易な姿勢で書き飛ばしているのが一目瞭然。

女房が脚本書いて旦那が演出という夫婦馴れ合いは「デビルマン」型鉄板失敗パターン。

故・宮川奏氏リスペクトなBGMがなかったら、とても正視に堪えなかったでしょう。

唯一の収穫は軍医(保健室のおばちゃんにしか見えないが→)佐渡先生(高島礼子)が抱いていた猫。高島の敬礼(握り拳を胸に当てる形)の手を押し返そうとする様がかわいいのなんの。

猫好きの方にのみ見所があります。