
この監督の持ち味は、ビックリするくらいヒネリがないという“意外性”。今回も健在です。
「ハプニング」(2008年/M・ナイト・シャマラン監督)
原因不明の同時多発自殺症候群発生。細菌テロか?! いや、植物の発する分泌物らしいぞ。市の中心部からやられている。人ごみは危険だ!
ってな憶測だけで逃避行開始。しかし、どこに行っても死体だらけ。
果たしてこの災害の実態は・・「自然界の事はよう分かりまへんな」
って、おいおい、それが答えか? 相変らずだな、シャマラン。
多分、この人、“工事現場から次々と飛び降りる作業員”とか“視界を埋め尽くすストレンジ・フルーツ”とか“急発進して樹に激突してフロントグラスぶち割って飛び出てくる運転手”という「絵」を撮りたかっただけなんじゃないかと思います。
避難先で離れと母屋に別れた主人公夫婦が「一緒に死にたい」という理由で、互いが危険な野外に出てくるシーンは、ちょっとグッときましたが。
星新一の「殉教」を思い出しましたが、勿論あんな深さはありません。
駄目駄目な批評が多いようですが、例えば似たようなシチュエーションの「ミスト」「クローバー・フィールド」と本作なら、私はこれを取ります。
それくらい自殺シーンが甘美だったという事でしょうか。
※参考:「自由の女神が仏頭になった日 クローバー・フィールド」
→2009年1月23日
「ダラボン悪意の満漢全席。 ミスト」→2009年5月22日