あ~やっぱりそういうオチになるか。
まあ確かに作品の大衆性とか考えたらこうするしかないです。分かってはいますがこの安いオチに与(くみ)するのは抵抗があります。
「スーサイド・ショップ」
(2012年/パトリス・ルコント監督)
生きる希望をなくした世界。人々の考えることはただ死ぬこと。
しかし、公共の場での自殺は御法度。飛び出して車に轢かれた人には警官が違反切符を口に突っ込んで去っていく(遺体の回収はしない。違反金は遺族が払う)。
ハトがビルの合間を飛べばそこかしこから飛び降り自殺者が雨あられ(ちょっとシャマランの「ハプニング」を思わせていい感じ。う~ん、デストピア)。
この不景気な街で繁盛している唯一のお店、それは「スーサイド・ショップ(自殺用品専門店)」。
先祖代々続く老舗の店内には自殺用品が目白押し。
トラッドな首つり縄、高価な銃器、毒薬、毒蟲から飛び込み用の重り、お値打ち品のカミソリまで。確実に死ねる高品質な商品はお店の自慢。
店主ミシマのお薦めは日本刀による割腹。今ならキモノも付けちゃうよ。
サービス精神あふれる妻と超陰気な息子と娘。今日もお店は確実な死を求める客で大賑わい。
このネガティブ一辺倒の家庭に加わった3人目の子供アラン。彼は笑顔を絶やす事の無い超ポジティブ人間でした。
この“出オチ感”満開の設定で、結末の予測はつくでしょう。
はい、自殺は良くないですね、人生は素晴らしいですね、見方を変えれば人生バラ色…な訳あるかい!
原作はいい感じにヒネリの効いた(ショッキングな)終わり方をするようですが、それをミュージカル・アニメにするのは確かに商業的に二の足を踏むところでしょう。
だからといってこんな偏差値貧乏なお気楽エンディングもどうかと思います。
これじゃ自殺者が浮かばれない。