デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

スター・チャイルド=超人? 2001年宇宙の旅

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本来、全編に渡ってつくはずだったナレーションを「それではマジックが消えてしまう!」というウルトラ自分勝手な理由キューブリックが丸ごと取っ払っちまったおかげで「難解映画の金字塔」になってしまいました。

 

2001年宇宙の旅

(1968年/スタンリー・キューブリック監督)


ブレードランナー」同様、スノッブなマニアが多いのでうっかりした事は言えませんが、私はあのオープニングテーマ曲が鍵なのではないかと。

リヒャルト・シュトラウスツァラトゥストラかく語りき」冒頭部。

インスピレーションの元ネタはニーチェの同名著作。

“神は死んだ!”と宣言し、人間は“超克されるべき何者か(即ち超人)”であると説き、永劫回帰を主張するツァラトゥストラ

スター・チャイルドが永劫回帰か?と問われれば「違う・・かな」と思いますが、神と進化の話ではあるように思えます。

公開後に発表されたアーサー・C・クラークの原作は、あくまで「クラーク版2001年」なので、キューブリックの映画とは区別した方が良さそうです。

むしろ、ニーチェの超人思想の中に「キューブリック版2001年」の本質があるような(ないような←弱気)。

にしても、色褪せませんねえ、この映画。年号追い越してしまった今観ても「遥か未来の話」に見えます。

私らは本作をシネラマで体験した最後の世代なのかも…。

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※写真は1968年の初公開当時の物。看板と垂れ幕の監督表記が「スタンリー・カブリック」になっています。

 

★ご参考