にっかつロマンポルノ復活・・本来なら頭に「祝!」とつけたい所ですが、結構複雑。
製作側が「カギを握るのが女性客」とか言ってる段階で「う~ん」。
確かにロマンポルノには新東宝や大蔵、ミリオンの「ピンク映画」に無い“大手らしい明るさ”があります(ロマンポルノがJ-POPならピンクは艶歌)。
でもねえ、名作・傑作と呼ばれている作品って結構じめっとしている(時代性とか作家性がある)奴が多いような気がします。
田中陽造脚本による「ツィゴイネルワイゼン」序章的な、
「マル秘女郎責め地獄」(1973年/田中登監督)
森下愛子の魅力全開で“ニュー・ファミリー(死語)”の終焉を謳った、
「もっとしなやかにもっとしたたかに」(1979年/藤田敏八監督)
キネ旬ベストテンにも名を連ねた荒井晴彦脚本による、
「赫い髪の女」(1979年/神代辰巳監督)
原作者(石井隆)自らも脚本に参加した大人のラブ・ストーリー、
「天使のはらわた/赤い教室」(1979年/曽根中生監督)
同じシリーズで、やりきれないにも程があるドン詰まりの恋愛を描いた
「天使のはらわた/赤い淫画」(1981年/池田敏春監督)
辺りが、私的名作(話題作という意味では、“オール釜ケ崎ロケ”というトロピック・サンダーな撮影を敢行した「マル秘色情めす市場」なんてのも)なのですが、敏八っつぁん以外は限りなくピンクな艶歌なんですね。
で、これを女性が好んで観るかと言うと・・・見ないでしょうねえ。
逆に女性が好んで見るようなポルノ映画を男は(デート以外では)観ないでしょう。
女性(だけ)に来て欲しければ美少年揃えて「やおいポルノ」を作ればいいんですよ。
この企画、話題にはなるでしょうがビジネスとしてはコケると思います。
では、最期に「天使のはらわた/赤い教室」ラストの水原ゆう紀と蟹江敬三の台詞を。
『そんな所にいちゃ駄目だ!』
『あたしからそっちには行けないの。だから・・あなたがこっちに来て』
二人の間には、小さく浅い、しかし決して跨げない水溜りがありました。
※ロマンポルノ復活のニュースはここいらへん参照→http://eiga.com/buzz/20100104/1/