デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

トンデモ脚本を豪腕演出。竹下景子万歳!ブルークリスマス

イメージ 1

 

公開当時、トンデモSF扱いされ、興行も批評も今ひとつだった本作ですが、何でしょうこの安心感は。ちゃんとした監督とちゃんとした役者。そうだよ、これが邦画だよ。

 

ブルークリスマス(1978年/岡本喜八監督)


倉本聰の脚本は穴だらけ(一言一句変えてはならんという鬼ルール付き)ですが、喜八監督の豪腕な演出力と、居るだけで画面を圧する役者陣の演技力で、骨太なポリティカル・フィクションになっています。

岸田森天本英世がツーショットで立っているだけで、もう・。

UFOを目撃した人間は血が青くなる・・という設定ですが、画面にはUFOも宇宙人も出てきません。目的も最後まで不明。

血が青いというだけの“マイノリティ”を国が、軍が、メディアが総力を挙げて駆除・殲滅する、地球規模の謀略がお話の骨子。

は怖い! は危険だ! の人間を殺せ!』


実に分かりやすい隠喩であり暗喩であるわけですが、公開から30年以上経った今日でもこの構文は十分有効です。

『10日後の事なんて分からないわ。あなたは誰かに聞かれてこう答えるわ。西田冴子?そんな女知らないって』

エスがペトロに言った台詞をトレスして運命のクリスマスが・・(この時の竹下景子-西田冴子役-の美しさは半端無いです)。

余談ですが、「新世紀エヴァンゲリオン」の使徒識別波長パターン:青(主モニター画面表記はBlood Type:Blue)は、この映画の英語タイトルから。

場所や日付、役職・氏名のテロップ乱れ撃ちも喜八リスペクト(庵野監督が大ファンなんだそうで)。

今回改めて鑑賞したら、使用曲まで被ってました(笑)。

しかし、この作品に対して「叩き台としての意味もない」だの「パリのロケが冬でないのは怠慢だ」だの「テレビなら放送止めてくれと言う」だの言い垂れた倉本聰には本当にイラッとします。何様のつもりだよ。