デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

闇から闇へ。 怪奇大作戦/第24話「狂気人間」

イメージ 1
世の中には「なかったこと」になっている作品が多々あります。あらゆるメディアでの露出を規制され、名前だけが語り継がれている都市伝説、所謂「封印作品」です。

封印と言えば、ウルトラセブン第12話「遊星より愛をこめて」ですが、今回はもう1本の円谷封印作品を。

怪奇大作戦/第24話・狂気人間」

(1969年2月23日放送/満田かずほ監督)


「え? 狂気人間って昔、フツーにビデオ出てたじゃん」と思ったら、今は門外不出なんだそうです(安藤健二氏の「封印作品の謎」読んで初めて知りました)。

怪奇大作戦は科学技術を駆使した犯罪を警察と協力しながら暴いていくSRIという組織のお話し。怪獣もヒーローも出てきません。犯行手段は近代科学ですが、犯行動機はドロドログチャグチャで毎回嫌ぁな余韻を残す暗~い番組でした(でも子ども向け)。

「狂気人間」は、狂人に夫と子供を惨殺された上に放火された脳神経学者が、気が狂っていれば無罪という法制度に復讐する為、人を特殊な機械で一時的に狂人状態にする「狂わせ屋」になる、というお話し。

囮捜査で罠を仕掛けたSRIの牧(岸田森)も彼女の機械で狂人に。

『はーはっは!殺してやる!殺してやるぞー!ひーひっひ!』

終盤、追い詰められた犯人は自ら最大出力で脳を破壊、永遠の狂人ワールドへ。

ラストシーンは精神病院の一室。童謡「七つの子」を唄っている彼女。

『♪か~ら~す~、なぜ鳴くの~。からすはや~ま~に~』

ここで一瞬押し黙り、両手で顔を覆って絶叫。この絶叫がエンディングテーマ「恐怖の町」イントロの悲鳴にかぶってエンドタイトル。

見ているこっちが「ぎゃあ~!」でございます。

1995年に「狂気人間」を収録したLD-BOXが発売されましたが、なななんと発売日当日に全品回収!(理由不明、以後再販無し)

告発者と告発内容が明確な「遊星より愛をこめて」と異なり、こっちは全てが闇の中(満田監督がこの手のクレームにナーバスという話も聞きましたが、真偽の程は不明)。

記録に残っているのは「欠番」の2文字だけ。封印の向こうには暗くて深い闇がある・・。