命懸けで守ったニュートがあっさり溺死。ヒックス即死でビショップ再生不能という、「2」ファンに対する嫌がらせとしか思えない立ち上がりで世界中の顰蹙を買ったシリーズ3作目にして鬼才フィンチャーのデビュー作。ようやっと「完全版」を観る事ができました。
「エイリアン3[完全版]」
(1992年/デビッド・フィンチャー監督)
劇場公開版(115分)より30分長い145分。DVDジャケは「EXTENDED VERSION」となっていますが、所謂“全長版”ではありません。
では「ディレクターズ・カット版」かと言うと、フィンチャー自身が編集した訳ではないので、それも外れ。
DVDメニュー画面の「SPECIAL EDITION」が正解に一番近いと思います。
これ観ると、劇場公開版が如何に「おいおい、そこ切っちゃ駄目だろ」的シーンをずかずか切り取った不完全版であったかが分かります。
描写として大きく異なるのはエイリアンの寄生先。劇場版では犬でしたが、完全版では牛。
今回のエイリアンは巨体であるという設定に説得力を持たせるためのようですが、あの敏捷な動き(走り)は犬の方が相応しいような・・。
ただ、ニュート、ヒックスの告別と牛から生まれるエイリアン、その誕生に反応したかのように鼻血を出すリプリーのカットバックは素晴らしい出来でした。
最大の違いはラスト。劇場公開版では、溶鉱炉に身を投げるリプリーの胸部からチェスト・バスターが出てきましたが、完全版ではカット。
「4」のDNAクローン・リプリーは、エイリアンと人間の混成体という設定。「3」でチェスト・バスターが出てしまうとリプリーが単なる「宿主」になってしまうので、整合性を持たせたという事のようですが・・・。
なんか、「ジェダイの帰還」で、ダース・ベイダーの素顔(セバスチャン・ショウ)が、ヘイデン・クリステンセンに差し替えられてしまった時のような違和感がありますね。
とは言え、この囚人惑星の雰囲気、嫌いじゃないので、完全版は大歓迎。願わくば、フィンチャー自身の手による「ディレクターズ・カット版」が作られん事を。
★ご参考