リュミエール兄弟が世界初の映画「工場の出口」を公開してから僅か30年。
工場の門から人が出てくる、ただそれだけの映像に世界中が腰抜かす程ぶったまげてから、たった、たったの30年で誕生した怒涛のスペクタクル巨編。
モノクロ(一部着色)&サイレントでありながら、このド迫力はなんじゃらほい。
既にワイラー版(1959年)の主要シーンは全て網羅されているじゃない!
冒頭のモブ・シーンで作り手の気合痛感。群集シーンには12万人のエキストラが動員されたとか(MGMの契約俳優も狩り出されたようで、よく探せばリリアン・ギッシュやハロルド・ロイドがいるようですが・・・分かるわけないわね)。
キリスト生誕シーンでは、何と特撮が! 星が光る、流れる、導く。マリアの頭部には後光が!
全然関係ないですが、東方より来たりし三賢者の名前が、カスパー、メルキオール、バルタザールである事も改めて確認(嫌ですねえ、アニオタって・・)。
マケドニア大海戦のセットは限度知らず。戦車競争シーンはスペクタクルのお手本です。
駒数落としてスピード感強調(馬が速い速い)、細かくカットを割りながらも各戦車の位置関係を見失わせない巧みなカメラワーク。
なんだよ、映画ってこの頃から進化どころか退化しまくっているじゃないか。ボーンなんちゃらシリーズ作った人たちはこれ観て「逃走と追跡」シーンの撮り方勉強しろよ。
ラストには「サムソンとデリラ」ばりの神殿崩壊シーンまで(おっとまさか崩落するんじゃないだろうな・・うわ、崩れたよ、すげー!←感想が中学生以下)。
余談ですが、私、昔ワイラー版ベン・ハーの8mmってのを所持しておりました。
10分足らずに編集された8mmフィルムで、ハー(チャールトン・ヘストン)が戦車競争に勝利した所でジ・エンド。おいおい、復讐万歳のまま終わっていいのか? キリスト物語はどこ行った? など突っ込み所満載(笑)。
実は「ベン・ハー」の最初の映画化は1907年で、僅か15分のサイレント映画だったそうです。機会があれば是非観てみたいものです。