デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

顔筋使え、顔筋。 フェイク シティ ある男のルール

イメージ 1
ハード・ボイルドとかフィルム・ノワールは、饒舌な感情表現を避けるものですが、 これは“主役のキャラが立っている”という大前提があって初めて成立します。

カミさんを“不倫中の脳梗塞”という下痢腹に浣腸な理由で亡くして酒びたり、命無用のカミカゼ捜査、悪い奴らはとりあえず殺して証拠は捏造・・必要悪なやさぐれ刑事。

実に美味しいキャラですが、キアヌの能面が仇。

「フェイク シティ ある男のルール」

(2008年/デヴィッド・エアー監督)


警察組織の腐敗・不正というお話は正直言ってありきたり(オチ、バレバレ)。

意外性を棄てた分、雰囲気とキャラ立ちが問われますが、これが実に中途半端。

リーサル・ウェポン」のメル・ギブソンが「真夜中の刑事」のイヴ・モンタン的状況に追い込まれた感じ、ではあるのですが、役者(特にキアヌ)が記号的演技しかできないので深みも厚みもありません。

感情のタメがないというか、喜怒哀楽のみならず、脆さ強さ儚さがまるで・・。キアヌ、少しは顔の筋肉使えよ(それでも「地球が静止する日」に比べれば大分マシですが)。

結果、展開もオチも「ああ、そうですか、分かりました。ま、どうでもいいけど」。

生身の人間描くなら、もちっと脚本に血を通わせてくれないと。

(キアヌが表情作って演技した作品って「ビルとテッドの地獄旅行」くらいしか思い浮かばないですね…)

★ご参考