もしこれが「パラダイス・アーミー/悪魔の毒々バタリアン」というタイトルで公開されたのならなんの文句もありません。
しかし、リメイクを謳ったとなると、ちいっと事情が変わります。
これのどこが「死霊のえじき(Day Of The Dead)」なんだ?
(2008年/スティーヴ・マイナー監督)
オリジナルは、地上がゾンビに覆われたデストピア社会(人類は生き残った軍人と科学者が地下で細々と暮らしている)でしたが、リメイクはコロラドの片田舎で謎の疾病が蔓延した“初期段階”。
もうスタートから「は?」です。
死者が蘇るのではなく、病原菌が発症して凶暴になる・・ってそもそもゾンビじゃねえじゃん(以下、発症者と呼称)。
で、こいつらロメロの大嫌いな全力疾走型・・を豪快にフライング。3階4階のガラス窓ぶち破って飛び降りてくるわ、忍者の如く壁や天井這うわ、やりたい放題。
武器も器用に使いこなすし、「死霊のえじき」と言うよりは、「ザ・クレイジーズ」+「ナイトメア・シティ」+「バタリアン」です(足した後500倍に希釈)。
で、話がちゃんとしてりゃあまだ救いがあるのですが、脚本が超テキトー。
ミーナ・スヴァーリが拳銃に実弾装填しない理由を「長い話よ」で誤魔化した挙句、放置。結局、答え合わせ無しで実弾乱れ撃ち。前振りにも伏線にもなっていません。
母親の面倒を見ない弟を散々なじっておいて、発症した母親を弟の目の前で轢殺。呆然とする弟に「あれはもうママじゃない」って、おいおい。
最初のうちは発症者を「一応人間だから」と避けて走っていたのに、何故か途中からバカスカ轢殺。お前人格障害なんじゃないか。
オチも「え、それで万事OKなんすか?」な能天気エンディング。
ミーナ・スヴァーリのロリフェイスとホラーのアンバランスさはある意味“美味しかった”ですが、“~of The Dead”の看板掲げるには作り込みが浅過ぎです。
★関係者はオリジナル100回観直しの刑。