特撮を特撮として使う・・「カプリコン1」に先んずる事2年、演出は負けてますがアイデアは勝ってます。
「東京湾炎上」(1975年/石田勝心監督)
20万トン級タンカー「アラビアン・ライト」を武装集団がシージャック。
磁気爆雷をセットされたタンカーは巨大な火薬庫。東京都民を人質にした犯人の要求は自衛隊戦闘機による石油コンビナート爆破とその様子の生中継。
もしタンカーが爆発し、原油が東京湾に流れ込めば気化→爆発の臨海→東京湾炎上→有毒ガス発生→都内全域酸欠、さらに二次災害・三次災害と連鎖して関東一円地獄絵図。
政府のとった対応は「コンビナート爆発の特撮フィルムを現地画像と合成編集してフェイクの実況中継を流す」。
中野昭慶入魂の特撮が冴える冴える。犯人にトリックがバレる流れも巧い。
先進国のエネルギー独占を告発する第三国という社会派な側面も。
アラビアン・ライト艦長に丹波哲郎(クドい)、乗り合わせた石油掘りに藤岡弘(暑苦しい)、という濃厚コンビ。犯人グループに水谷豊(若い)の姿も。
まあ、演出にこなれていない所も多く、不満は多々あるのですが、それでも「亡国のイージス」「突入せよ!あさま山荘事件」とかに比べれば優に100倍は面白いと思います。
★ご参考