確かにデカイ。
どれくらいデカイかと言うと、サメはゴールデンゲイト・ブリッジを喰いちぎるくらいデカイ。
タコは触手の一撃で戦闘機を叩き落とすくらいデカイ。
しかし、このデカさは、そばにスケールになる対象物があって初めて認識できるもの。何もない海中でタコがサメをハグしても、単にタコがサメに求愛しているだけにしか見えません。
頭上のジャンボにジャンピング・シャーク・アタック喰らわせるアホさ加減が全編に渡って炸裂していたら拍手喝采だったのですが…。
「メガ・シャークvsジャイアント・オクトパス」
(2009年/エース・ハンナ監督)
アラスカ沖で氷漬けになっていた太古の巨大サメ“メガロドン”と宿敵の大タコが覚醒。
宿敵同士が同時に目覚めるというのは、アボラスとバニラ、グドンとツインテール、ガメラとギャオスなどに連なる鉄板のお約束。ここまではいい。
サメは次々と船舶を沈め、タコは海上油田基地をタイトな抱擁で粉砕するなど大暴れ。
この大惨事をメガロドンと大タコによる同時多発アタックである事を突き止めた海洋学者トリオ(兄ちゃん姉ちゃん爺ちゃん)は、軍に拉致・脅迫されながら殲滅作戦を立案。
何か色のついた液体を楽しげに混ぜ合わせてフェロモン液を作成。兄ちゃん博士が姉ちゃん博士を「君は天才だ!」とか持ち上げますが何が凄いのかこっちにはさっぱり。
『このフェロモンを撒けばメスがいると思ってやってくるわ』
そうか、サメもタコもオスなんだな…。
で、サメはサンフランシスコ湾に、タコは東京湾に誘い込むことに決定(兄ちゃん博士は自分が日本人と言い張っていますが、どう見てもちょっとアジアの血が入っているだけのアメリカ人)。
で、サンフランシスコ作戦は、攻撃がまるで効かず失敗。無線で東京に連絡すると、
『失敗でした。攻撃に怒ったタコが大暴れして、東京湾は地獄です』
当たり前だ。どっちも海上運航の要の港で目の前は大都市だぞ。石油とかの備蓄コンビナートだってあるだろう。
避難勧告の暇も無い短時間で国同士の交渉も無しにそんな作戦よく決行できたな。
ってか、その地獄絵図を映像で見せんかい。「失敗でした」で終りかよ。
で、姉ちゃん博士の頭に天啓が!
『そうだ! サメとタコを戦わせればいいのよ!』
昭和ガメラとかで、何故か司令部に出入りしている小学生が言う台詞ですね。
で、この世迷言をスティーブン・セガールを100倍下品にしたなんちゃってポニーテールの軍司令官が即採用。
ここで初めてタイトル通りの展開になるわけですが遅いよ!
ここまでも、サメ、タコ双方に破壊活動シーンはありましたが、一本調子で淡白。
橋を破壊するのなら、サメ目線、人目線、車舐め、引きなど視点を変えカットを変えて惨劇のディテールを活写して欲しいのに、引き画が数カットあるだけ。飛んだ!かじった!はい、おしまい、次のシーン。
タコが海上油田基地襲う時も同様。せめて触手との攻防戦、海底に引きずり込まれる作業員、外から握りつぶされる建物の内側目線とかを入れてくれないと。
どうもお話を繋げる事に手一杯で、観客が怪獣映画に求めているものを斟酌する余裕を監督が持ち合わせていなかったようです。
この辺り「メガピラニア」を見習って欲しいと思います。
★ご参考