
監督と脚本家。組み合わせによって最強になることもあれば最悪になることも。
深作欣二×笠原和夫、岡本喜八×橋本忍、実相寺昭雄×佐々木守、三池崇史×NAKA雅MURAなどなど(最後の奴は最強・最悪を同時に実現)。
TV番組も同様。特に刑事ドラマ、時代劇には最強タッグと言われる組み合わせがあります。
そのひとつが「特捜最前線」に於ける長坂秀佳(脚本)×天野利彦(監督)。
「うおう、今日は泣けたぜい!」なんて回は大抵、長坂・天野コンビでした。

サスペンスフルなのに人情話というのが特捜エピ全般に言える特徴ですが、このフォーマットを崩さず、西部警察ばりのスケールを見せたのが、
「特捜最前線/第180話・ダイナマイトパニック 殺人海域」
「特捜最前線/第181話・ダイナマイトパニックⅡ望郷群島」
(1980年10月放送/長坂秀佳脚本×天野利彦監督)
三重県、鳥羽。伊勢湾フェリーからひとりの男が姿を消した。巡回艇による捜索の結果、湾上に浮かぶ身元不明の水死体(頭部打撲あり)が発見された。
男の乗っていた車は盗難車。更に車内には数本のダイナマイトが。
同じころ都内で500kgのダイナマイトが強奪される事件が発生。輸送トラックは崖から転落して大爆発。しかし、これは擬態。使用されたダイナマイトは200kg。犯人の手には300kgのダイナマイトが残ったことに。
やがて“燃える命の火”と名乗る犯人グループから犯行声明が。

都内のどこかの駅を17時に爆破する。回避の条件は、
“モネの絵「エトルタの朝」を指定した海域に落とせ”
そんな有名な絵が日本にあるわけ…あった。先月、政財界の大物、木佐崎が4億円で落札している。
木佐崎を演じるのは神田隆。もう絵に描いたような悪党。爽やかな笑顔で協力を約束してトンヅラの繰り返し。西武警察なら大門が殴ろうとするのを小暮課長が止めて自らが殴るシチュエーション。
たった1枚の写真から漂流死体の身元を割り出す地道な捜査、燃える命の火との交渉、木佐崎の説得、爆発までのタイムリミット…東京と鳥羽をまたにかけた大攻防戦。
後編は1枚の写真に写り込んだ3人の男女の過去、約束、果たせなかった想い、隠蔽された木佐崎の犯罪、犯人の真の目的が明らかに。

木佐崎に翻弄されまくる船村(大滝秀治)、何回爆弾解体するんだよ、な試練に見舞われる桜井(藤岡弘、)など見所(?)満載。
今の目で見るとラストが甘い(目撃証人を木佐崎に見せちゃ駄目だろ。絶対裁判までに消されちゃうぞ)のが難ですが、いかにも特捜なスペクタクルドラマでした。