どう見てもアメリカ。ラスベガスの裏手辺りにありそうな砂漠の一本道。
しかしテロップは・・埼玉県戸田市笹目。
この嘘が買えないと、後につづく嘘の佃煮、混沌の闇鍋は口に合わないかもしれません。
「漂流街 THE HAZARD CITY」
(2000年/三池崇史監督)
お話は、日系ブラジル人マリオ(TEAR)と中国人ケイ(ミシェル・リー)が逃亡資金を稼ぐため、中国マフィアの賭場(闘鶏)のあがりを強奪しようとしたら、間違えて日本のヤクザに売るはずのコカイン持ってきちゃったからさあ大変・・
・・なのですが、この映画を愉しむポイントは、
主人公の二人を無視する・・これに尽きます。
実質主役はヤクザの厄ネタ男、吉川晃司。コカインを強奪された責任を問われた吉川は即逆ギレ。親分、幹部皆殺しにして組乗っ取り。
『ヤクザやってて、ホント良かった・・』
ちょっと若い頃の小林旭を思わせる佇まいは正に主役の貫禄(でも特別出演)。
もう一人は、中国マフィアのボスを演じた及川光博。吉川との最終対決は、
『卓球、しませんか?』
SMフィギュアの虫めがね鑑賞という実に男らしい趣味を持っています。
この二人を中心に、若い男女が彩りを添えている、という見方をすればかなり楽しめるはずです(ブラジル人絡めたメリットはアクションにカポエラが使えた事くらいかな)。
原作(馳星周)ファンにはエライこと評判が悪いですが、こんなもなぁスチュアート・ゴードンやブライアン・ユズナがラブクラフト映画化するのと一緒で、破壊が前提。
大体、ドラマとホモが同義語の三池に男女のラブ・ロマンスなんか撮れる訳ないじゃないですか。期待する方が間違っています。
個人的には密航の段取りをするロシア人が好感触でした。
『ロシア人はヤケ酒は飲まない。好きで飲んでるんだ。だから戦争に勝てない』
なんとなく納得。