戦地ベトナムから故郷アメリカへ。しかし、故国は彼らを愛してはくれなかった。
(1972年/リチャード・コンブトン監督)
「DVDを出せ!今すぐ出せ!」シリーズとして書こうとしたのですが、なんと紀伊国屋から11月にHDニューマスターDVDが発売されるそうです。
しかも! 以前リクエストした「ローリング・サンダー」、「ドッグ・ソルジャー」と合わせて3本同時リリース!
更に! 12月にはアンジェイ・ワイダの「抵抗三部作」をBOXで出すという大盤振舞!
偉すぎるぞ、紀伊国屋!(ってか人の財布の事少しは考えろ)
と、ここまで持ち上げて恐縮ですが、何故か「ソルジャー・ボーイ」のみ販売延期・期日未定になってしまいました。何があったんだ紀伊国屋!?
という訳で結局「DVDを早く出せ」シリーズとしてレビュー・スタート。
カリフォルニア目指して車で旅に出たベトナム帰還兵のダニー、シューター、ファットバック、キッドの4人。
世間との折り合いがつかない4人。安住の中にいて彼らを指弾する社会。
上手くいかない・・焦燥と苛立ち。立ち寄った小さな田舎町ホープでガソリン泥棒として発砲された時、戦線の遥か後方が一瞬にして最前線に。
車のトランクには軍から持ち出した大量の武器弾薬が。
殺人機械のスイッチが入った4人は瞬く間に町を破壊、住民81名を残らず瞬殺。
州兵の装甲車をランチャーで撃破、地対空ミサイルでヘリを撃墜。
ヒーローは不在。ガソリンも給油器のチェーン・ロックを破壊しようとしていた所を発砲されたわけで決して“濡れ衣”ではありません。
なので、“主人公は正しくあるべきだ”というモラルを持っている人は楽しめない(と言うか理解できない)かもしれません。
「ローリング・サンダー」同様、倦怠と惰性の日常に戻れなくなってしまった男たちが哀れで悲しい青春映画の佳作です。
この映画が公開された年、作家デヴィッド・マレルがベトナム帰還兵を題材にした小説を発表します。
タイトルは「FIRST BLOOD」。10年後、同名で映画化。 日本公開タイトルは主人公の名前をとって「ランボー」。彼が立ち寄った町の名前は“ホープ”でした。
今「ソルジャー・ボーイ」はVHS中古がアマゾンで18,777円。頼むぞ紀伊国屋!
※参考:「ランボー」→2008年5月23日
「DVDを出せ!今すぐ出せ!ローリング・サンター」
→2009年12月10日